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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO1(東方神起ホミン小説)

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18日と三時間



時間に換算したら僕にはもう暗算が追い付かないくらいの長い長い間


…18日と三時間


ドラマの撮影に追われて考える暇も無いくらいの毎日を過ごしているにしたって長すぎる時間



18日と…と時計を見ようとして時代劇の衣装に気付いて苦笑い


この時代に腕時計なんてあるわけない


首を巡らせて時計を探すけど見当たらずに肩をすくめた…のを顔見知りのスタッフさんに見られて曖昧な笑みを浮かべる



「どうかしましたか?」


「すみません…今何時かと思って」



ああ、と上向けた腕時計を盗み見てしまうけど素知らぬ顔で教えてもらう


「もうすぐ9時ですね…準備あと少しで終わりますから」


お礼を言ってドラマのロケの最終調整に騒然としている場を一瞬抜け出して

少し離れた暗がりに落ち着いた


周りにいる大勢のスタッフさんや関係者さん…知らない人も多い…の中から現場のマネージャーを見つけて頷く

…とするりと音も無く近づいてくる手には僕の鞄


そんな過保護な監視にさえ 何の違和感もなく手渡された荷物をかき分けて 


取り出した電話の画面に現れた時間を眺める



18日と…もうすぐ四時間


ため息と共に漏れてしまう感情には蓋をして



……今までで最長かも知れないな、なんて徒然にたどる記憶


18日と四時間なんて長い間会っていない相手の顔を想いながら画面を見つめてしばしの躊躇



アプリを使う?メールにする?それともいっそ電話してしまおうか…


なんて考えているとちらほら現場入りしてきた顔ぶれを見て慌ててスマホを鞄に放り投げ


挨拶を交わしに進み出るともうきれいさっぱり仕事モード



一瞬思い浮かべた面影を跡形もなく消そうと努力することに若干の罪悪感を覚えながらも笑顔を取り繕った






撮影が終わって帰路につけるのはたいてい真夜中


下手をしたら朝方なんて時もある苛酷なスケジュール


でもそんな生活でも幸せだ


忙しすぎる毎日…でもだからこその充足感


もうすぐ失われると思えばなお真摯に取り組んで結果をのこしたい…




足の怪我をおして波乱含みの大規模な外国のツアーが終わるや否や新しいドラマの撮影が本格的に始まって


感慨に浸る暇も与えない



初めての時代劇だから覚えなければならないこともたくさん


寡黙な武術の達人なんて役柄に合わせたトレーニングに乗馬に殺陣…大変だけどライブや歌番組とはまた違った楽しさもあるのは否定できない


何より芸能人としてもう十年やってきて、それでもまだ知らない新しい世界があってそれを体験出来るという素晴らしさ


それにはもちろん〈東方神起のユノ〉というブランドがバックにあるからに違いないけど




〈帰るところがあるんだから物見遊山でやってるんだろう〉


そんな風に揶揄されたり演技力を酷評されたり


でも出来不出来は別にしてアイドルだから片手間にやってるとか真剣見が無いとだけは誰にも言わせない…


それがどんな仕事でも軽い気持ちで手を抜いて…なんて冗談じゃない


なんて力んでしまうのは少し…ツアーの前だからもう大分前か…に出た僕が兵役回避の為にわざと怪我をしたなんて記事がまだ心のどこかにこびりついていて



それだけじゃない…過去に言われた批判や非難やあからさまな暴言やあてこすり


普段は全く忘れているそんな事がなんだか時折思い出したように古い痛みに変わる瞬間


逆に新たな闘志が沸き上がるのを気付かない人も多い


僕にはネガティブキャンペーンは逆効果だっていうのに!


普段の洞察力はどこへやら心配のあまりに青ざめた顔に微笑んでそう告げても


納得せずに僕の痛みを引き受けてしまう愛しい存在の事が急に思い出されてわずかに上がる口角


もっと賢くてもっと冷静でもっと礼儀正しい


僕といない時の姿


僕以外に見せる無意識の仮面


毒舌で一筋縄ではいかないようなキャラ作り



時折難しい発言の真意を肌でわかるようになった喜びが僕を無敵な気持ちにさせてくれる


裏腹な態度や言葉の裏に紛れもなく僕への信頼や愛情があるって僕が思っているなんて



…チャンミンは知っているんだろうか?




〈ただいま〉


何の返事もない暗い部屋に向かって不明瞭なつぶやき



乱雑な部屋を脇目もふらずに横切ってソファーに倒れこみ目を閉じる



今日1日を思い返して反省したり満足したりしようとしても浮かぶのは会ってすらいない顔



片手を上げる事さえ億劫な感じでだらしなく寝そべったまま電話を取り出して


眺める画面に探す名前




仕事を終えロケバスの中


帰りの車の中でも何度も眺めてそのたびの落胆


〈忙しいのかな…〉


他に何通かのメールやライン…嬉しいけれどそれらに飛び上がりたくなるほど心踊ることは少ない


それがどんなに簡単なメッセージでも素っ気ない短い言葉でも


特別に大切になってしまう気持ちが宙に浮いてあてもなくさまよってしまう最近の生活





18日と… 何時間?



チャンミンに会っていない



18日と…?



声を聞いたのだってもう何日も前



あと何時間…



眠ってしまう前になんやかや……


しなきゃならない必要最小限の事さえまあいいか、なんて忘却の彼方



すぐに訪れる眠りを疲れきった身体は喜んで迎えてしまうけど


まだ漂う意識には若干の名残おしさ



……電話しようかな



そう思いながらもう電話を握っている感覚すら無くしていく



〈会いたいな…〉



意識が無くなる直前


心と言わず身体と言わず全身から沸き上がる想い



〈会いたい…〉



テレビもエアコンも電話すら存在すらしないみたいに何もせずに最短距離で眠りについた

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