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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO4(東方神起ホミン小説)

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目の前でやっと開いたエレベーターに乗りこもうとして降りてきた相手とぶつかりそうになってしまう


慌てて横によけながら一歩下がると素っ頓狂な声


「あれ?ユンホさんよろしくお願いします」


顔をあげると旧知のプロデューサー…打ち合わせの相手だ…が顔見知りじゃない二人を連れている


慌ててエレベーター前で始まる挨拶……テミンが押さえてくれたドアを離れてSHINeeのメンバーが乗り込むのを横目で見守る


挨拶のあと始まった雑談から逃れる術はなく


先に行けよ、と目配せすると狭い箱の中で並んで軽く会釈をされながらゆっくりと扉がしまるのを見送った





結局そのまま会議室に戻ると少しおや、という顔をしたマネージャーを交えて無難に打ち合わせを終えた






帰りの道中やっとリュックから取り出した電話に着信履歴


車内が急に狭く感じられてちょっと疑心暗鬼になり


聞こえないように耳に強く当てて聞くメッセージ


ヒョン…と懐かしい呼びかけのあといつもより若干早口で


〈会えなくて残念…元気にしてる?撮影は順調ですよね…?〉


ややあって


〈とにかく身体に気をつけて撮影頑張って…暑いから水分補給忘れないで下さいね…それから〉


〈写真集見ました?〉


微かに笑い声


〈ちょっと凄いですよ…あの時のこと考えると…なんだか不思議で〉


〈撮影で忙しいだろうから電話なんてと思ったんだけど…でも今日会えなかったから〉



しばしの沈黙 



〈まあとにかく今日は残念だったけどまた電話します〉


じゃあ……といってあっさりと通話は切れた



入れ違いちょっと後くらいの時間を見て漏らす呟き



〈ぐずぐずしてないで階段でダッシュしてれば〉


なんて今更ながらの後悔をしてみてももう…後の祭り



心踊る相手からの待望の連絡なのに心穏やかじゃない


でもまあ…久々に聞く声だ


ちょっと物足りないけどでもまあ…普段から電話でもメールでもそんなに愛機のある方でもないし


最も最近はちょっと変わってきたみたいで面と向かってはわざと可愛いい甘えた口調で話しかけてきたり


(以前から酔うとそうだったけど)



アイドルみたいな(だけど)誇張された可愛いい仕草をしてみせたりし始めた時にはちょっと内心どうしたのかな、と思ったけど


まあそれで上手くいってることも確かだ


実際なんだかんだ言っても可愛いいと思っちゃうし…なんて僕は重症だな、と呆れてしまうけど


10年を軽く越えるほど長く一緒にいてなお溢れ出る気持ちが一体どこから来るんだろう…そう思って不思議な気持ちになる


と、途端にまた声が聞きたいなんて……




馬鹿みたいにもう一度聞こうとして別のメッセージにも目がいった


アプリを開くと簡単な一行しかない短いメッセージ



〈ヒョンの顔忘れそう〉



忘れそう、のあとに付けられた泣き顔のマーク


ことさらに真面目な顔を作ろうとしてもちろん失敗する


さぞかしにやついた表情をしているんだろうな、と思ってそのことがまたおかしくなる



狭いシートで飛び上がりたくなるのを抑えて思いきり前の座席を蹴ってしまい


ちら、と様子を伺うマネージャーに笑いながら何でもないと小さく告げた





マンションの入り口近くで微かにマネージャーから漏れた舌打ち



「なに…またいる?」


そう聞くと全く…、と鼻をならして


「大して多く無い…7、8人ですかね…」


憤懣やる方ない様子で告げられた


窓から少し伺うと住人以外が入れるギリギリのところで固まっている人影



「せいぜい静かにしてくれてた事を祈りますよ」


僕は曖昧に頷いた


サセンペン(私生活ファン)と言われる過度な追っかけの存在はもう大分前から大きな問題になっている


ストーカーじみた待ち伏せやパパラッチ顔負けの追跡
で事故や事件に発展する事も少なくない


そっとため息をついた


彼女達は知っているのかな?


僕達は頻繁に電話を変える


昔あるアイドルが落としてしまって大騒ぎ


そのアイドルの電話張に入っていた芸能人のアドレスが瞬く間にネットで流れて


際どいメールや画像も…さながら公開処刑だ


そんなことが何も無くてもいつの間にか知らない他人からメールをもらったり


勝手に部屋に入られて写真を撮られてその写真を送られたこともある


移動の車もしょっちゅう変えたりわざとダミーの車を紹介したり


はたまた何台かで並走して途中で違う車に乗り込んだり…まるで出来のわるいスパイ映画みたいに



最初は面白がったりちょっと自慢気に話すネタの様に思っていたって


毎日毎日……それがどんなに僕達の生活を難しくしているか彼女達は知っているんだろうか?


芸能人じゃない1人の人間としての生活を…


はなからそんなものは無いと批判されることも多い


芸能人なんだから騒がれて当たり前、それが嫌ならやめてしまえなんて極論


確かに恩恵もたくさん…有り余って困るくらい


感謝していない訳じゃない


でも一日…一日でいいから誰にも気付かれずに自由に街をぶらついてショッピングしたり映画を見たり


大騒ぎにならずに食事したり遊園地に行ったりしてみたいなんて


そんな些細な事を願ってしまうのがそんなに悪い事なんだろうか?






窓の外にざわつく人影


ほとんど毎日繰り返される攻防を余り無下には出来ない


何といってもファンなんだし…プレゼントやなんやかや…僕だって憧れのスターに少しでも近づきたい気持ちは解る


憧れのスターが住んでいる場所がわかってもし行けるなら学生の頃とかなら勢いに任せて押し掛けてしまっていたかも知れない


僕だって……


思わず漏れるため息


今の部屋ももう更新はしてもらえない


はっきり他の住人から苦情が出ているし迷惑だ、と言われたことも


実際撮影が落ちついたら引っ越す算段がついていた



そうやって段々狭くなる世界


芸能人村と呼ばれるセキュリティの厳しいマンションに籠城して外の世界を忘れてしまう


一分の過激なファンの行為が僕達を少しずつ普通のファンからも遠ざけていると何故気がつかないのか?




車を降りると静寂に響く饗声



唇に指を当てておどけて見せた…

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