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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO10(東方神起ホミン小説)

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僕はそれまで自分の事を意思の強い人間だと思っていた


やると決めた事や交わした約束はどんなことがあってもやり抜くし叶える鋼鉄の意思がある、と


反対に少しくらいの悪癖なんて直ぐに正すことが出来るだろうなんて


考えるそばからくゆらせた煙の元を眺めて苦笑する


煙草だって止めようとおもえば直ぐにやめられる


ギャンブルだって同じこと


止めようと思えば明日にでも止められるけど別に止める必要性を感じないだけ


ちょっとしたお楽しみに耽ったからって何が悪いのかなんて自己弁護してしまうことがもうすでに…



僕を救っていたのは皮肉にも過密なスケジュールだった


少なくとも仕事が忙しければカジノには行けないし


いくらなんでも仕事に支障をきたしてまで…と思えることに安堵する


そしてその安堵がまだ大丈夫…いつでも止められるなんて根拠の無い自信になって


…今思えば負のループだ



今まで余り取らなかった細かい休みを急に取り始めてその度に姿を消してしまう僕にチャンミンは何も…


言わなかったとは言えない


僕の様子に仕事の合間…機会があるたびに真面目に話をしようとするのを僕は極力避けたり誤魔化したり


平穏無事な毎日を装ってなんとか無事にやり過ごす日々を重ねて…






大規模な海外公演とそれに続いてすぐ写真集撮影を控えて


二人とも前々からオフが決まっていた


かなり前から決まっていた休みだったので僕は久しぶりに家に帰るはずだった


〈ヒョンは家にかえるんですよね?〉  


何気ない話の流れでチャンミンに強く聞かれて咄嗟に言葉を濁した


確かに家に帰るはずだった


この間まで…昨日まで…今この瞬間までは


滅多に帰れず不義理しているだろう

教会にもしばらく行っていない…


〈家に帰るんですよね?〉


声に含まれた懇願するような響き


チャンミンの問いかけに言葉を濁した瞬間僕は自分が家に帰らない事を確信した


ふと目をあげると悲しげな躊躇しているチャンミンの姿


訴えかけるような空気を無視してそばを離れた


仕事をこなして家に帰るなり明日が待てずに


どうして待つ必要がある?


駄目だといい聞かせてもどんなに否定しても


いざ足が向いてしまえばそんな考えは綺麗に消え失せしまう


お馴染みの豪華なエントランスに差し掛かった瞬間切り忘れていた電話の着信音がひどく鮮明に響いた


画面に表れた名前を見て息を飲む


おそるおそる電話に出て挨拶しながら足早に表に…カジノの音を聞かせたくなかった


「帰ってくるんだろ?」


思わず唇を噛んだ


なんで知ってるんだと思ってふと思い出す


この休みは大部前から決まっていたので仲間にも帰ると伝えていたことを


でもあれは一緒にカジノ旅行に行く前のこと


だから大部前のしかも僕達のスケジュールなんて変わる事も多いのに


「覚えてたんだ…」


呟くとあくのつよい光州弁混じりの軽い叱責


「なに言ってるんだ…当たり前だろ?俺たちのスターが田舎に帰って来るって大行事なんだから」


「馬鹿やめろよ」


からかい混じりの応酬のあと


「で今日着くのか?明日朝いちか?」


その言葉に返す言葉を失って


畳み掛けるように早口で答えた


「実はちょっと…ちょっと仕事が入っちゃって残念だけど」


行けないんだ、と告げると


え、と一瞬の間


「そうか…俺も残念だ…皆も寂しがるよ」


「皆も?」


「ちょうどいいから飲もうって話になって…まあ急な話だったからこれる奴だけなんだけど」


「ああ…」


そして一瞬の間


「…実はあいつも来るんだ」


思わず小さく息を飲んでしまう


最後に会った時の姿が鮮明に甦えって頭にこだまする声



「連絡したら謝りたいって…とゆうかまあ…なあわかるだろ?」


返す言葉は急に掠れた


咳払いしてもう一度わかってる、と言うと慚愧ののこる声


「本当に残念だけど仕事頑張れよ…お前の分も飲んでおいてやるからな」


僕は堪らない…


堪らない気持ちになった


今すぐ前言を撤回して直ぐにでも光州に駆けつけて


そうしようと思っていながらも言葉が出ず硬直した身体に響く別れの言葉


明日は残念だけどまた会おう無理するなよ、と


そう言い残して電話は切れた





痺れたような頭の中と裏腹に足取りは揺るがない


夜というのにまだまだざわめくエントランスを抜けて足早に進んでいく


初めて来た時には見とれていた美しい内装や思いおもいに着飾った人々も全く目には入らない


ディーラーに合図して手近な席について


ゲームが始まってやっと


ほんの少しですら楽しんでいない自分に気付く


それどころかもうずっと楽しんでなどいなかった


熱病に浮かされた様に勝負をして勝っても負けても最後には残るのは虚無感だけ


つかの間の興奮は段々と慣れて何も感じなくなると共に上がっていくベット


熱くなる頭と裏腹に心の芯は冷えていく


この何ヵ月か、かたくなに目を反らしてきた心


麻痺していた心がやっと動き出す


どれだけの価値があるというのか


馬鹿げた嘘をついてまで


友達を落胆させてチャンミンを心配させて


そうまでして楽しめもしないことを何故…


そう思いながらも自分では思い切れずに


次の勝負を促す声にようやく席を離れた

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