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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO11(東方神起ホミン小説)

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まるで逃げるように誰とも目を合わせず俯きながら車に乗り込んで走り出して


ハンドルを握る手は僅かに震えてしまう


夜の闇の中を滑るように走らせる車の中で刻まれるのはまるで早鐘のようなリズム


一刻も早く離れたい


しばらくして後ろを振り返るときらびやかな宝石箱の様な灯りが小さく消える寸前


路肩に停車してやっと長く深いため息をついた



電話を取り出してロックさえ解かずにただ見つめて考える


このまま光州に帰ろうか…


夜通し走って明日皆に会って楽しく飲んで


そうできたらこの何ヵ月かの訳のわからない混乱から抜け出せるだろう…と考えて即座に否定する


訳のわからない混乱なんかではなかった


自分の行動を僕は十分理解していたのだから…訳がわからなかったでは済まされないだろう


でも別に誰かを傷つけたり迷惑をかけたりしたわけじゃないんだから


そう思おうとして棘の刺さったような心


誰も傷付けていないだなんて…!


一体いつから僕は自分のいいように現実をねじまげて


自分の心すらまともに見ることが出来なくなったんだろう…



頭を振り車を帰路に向けて走らせる


合わせる顔が無い


自分の事が恥ずかしかった





家についてぼんやりと


横になって何をするでもなく白々と明けていく夜を惜しむ…


いつもなら少しでも日が高くなると疼きだす身体も心も朝の光りにただ照らされて死んだように力無く


昼間の焼けるような夏の陽射しから逃げ惑う…固く目を閉じて眩しさの残像に焼かれながら


必要最小限の事しかせずにただ横になってたまに見上げる時計でさえ静かに時を刻む無音な世界


なんだか時が止まってしまったよう


こんなに長い間病気でもないのに家にいたのは初めて


夕闇が迫り夜が来て



電源を切っていたスマホを起動させると表れた新しいメッセージ


次々と読み飛ばしてふと…


表れた短い言葉を何度も読み返してしまう



〈本心じゃない…悪かった〉



どんなに仲違いしても次の日顔を会わせればもう自然に仲直りしていたかつての日々が甦える


取っ組み合いの喧嘩をして殴りあったとしたって、次の瞬間にはお互いの傷を数えて自慢する与太話


何が旨いんだかわからない煙をただ大人に見せたくて吐きながら


誰かがどこかから持ってきた安い酒に酔っては、お気に入りの曲を派手に流してひそめられる眉を快感に思うほどに子供だった


街に出れば容易く危ない薬や何もかも手に入れることのできる今の子供と比べると随分牧歌的…


だから心も牧歌的だった



あの頃ならすぐに電話して
分かってる気にするなよ、と言えた言葉が


今は余計な感情に阻まれて行き場を無くしてしまう



黙考しながらスマホを手に眠れるはずがないと思いながらいつの間にか眠ってしまった



夜中トイレに立って


戻るとベッドに置かれたままのスマホを取り上げて


〈気にすんなまた会おう〉


手早く書いて躊躇する間を与えずに一気に送る


枕に頭を乗せるとそのまま



深い眠りについた





次の日憑き物がとれたみたいに新鮮な気持ち


当たり前に昇ってきた朝日にさえ感動を覚える


一夜にして世界が変わった


飛び起きて小躍りしたいような気分が長く続きますように


祈るような気持ちで過ごした何日か後公演に向けて旅立った





無事に公演を終えると韓国に帰る大部分とは別行動


肉体的には大変なスケジュールだけど心踊るような楽しい予感


見るもの全てが美しい


どこを取っても映画みたいな風景の中で楽しそうなチャンミンの姿



ここしばらくの遠巻きに僕を見ている心配そうな眼差しは消え失せていた


僕も本当に…心の底から楽しんでそのことに深く感謝していた


仕事でも何でも…本当に楽しいと心の底から思えたのはなんだかとても久しぶりな気がして


ふと目があって僕がチャンミンに大きく笑いかけると少しはにかんだみたいに笑顔を返した



順調な撮影に嬉しいニュース


撮影が終わってホテルのテラス…グラス片手にくつろいだチャンミンがそういえば、と切り出した


「撮影がうまくいってるんで本当に明日オフ取れそうですよ」


「そうなの?」


「ただもう本当に行きたいところが多すぎて…ヒョンどうします?」


「そうだな…」


雑多なテーブルを少し片付けて僕の方にモバイルを向けようとするのを断って立ち上がりチャンミンの隣に滑り込む


「どれどれ…ちなみにチャンミンのおすすめは?」


なんて身を寄せると密着した身体に呼び覚まされた感覚にくらくらと


夏の夜…白い石造りのテラスのキャンドルの柔らかな灯りに浮かびあがるチャンミンは穏やかな顔をして


綺麗な白いシャツから少し覗かせた素肌につい目がとまる


外国の強い日射しもまだ日焼けの跡を残していない首筋から流れるような美しいライン


鎖骨の上を走る銀の鎖に手を伸ばすと唐突な僕の行動に驚いてそれから


共犯者みたいな微笑みを浮かべた


ちょっと…と引き寄せたモバイルの画面に表れた手書きの文字に僕はまたもや目眩を覚えてしまう


〈ヒョンの部屋?それとも僕の?〉


僕は馬鹿みたいに頷いてやっと自分を指差した


僕の部屋の方がマネージャ―の部屋から遠い


〈一時間後?〉


辺りを見渡すともう大半のスタッフは食事を終えて思いおもいに席を立ったり飲み直したり


少し悩んで指を2本立てるとたまたま目が合った隣のテーブルのよく知っているスタッフにピースサインを返されて


チャンミンと顔を見合せての忍び笑いが、当のスタッフのポカンとした顔を見てこらえきれずに吹き出した



部屋に帰ってシャワーを浴びて…二人分の飲み物の用意なんてし始めて浮かれた気分


何かいるかな、と取りだした備え付けの小冊子…ルームサービスの案内を探してめくっているとつと指が止まる


ホテルの近くの店舗や施設の案内のよう…表記はイタリア語と英語だったけどそれでもCASINOくらい僕だって読める…読めてしまうもの



頭の中が痺れたみたいになって立ち尽くしているところへ響くノックの音



我にかえって重いドアをあけた

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