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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO13(東方神起ホミン小説)

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翌日起き出すともうチャンミンの姿はどこにも無かった




これまでも何度と無く喧嘩をしたりお互いにうんざりしてしまって


それでも周りにマネージャ―やスタッフさんが沢山いるので余り顕著には出来ない


そんな時のスタンスを僕達はもう肌で覚えてしまっている


他の人には気付かれることなくやり過ごすやり方を


普通に会話もするし必要なら笑顔で抱き合ってみせる


傍目にはいつも通りの僕達に見える事を期待して…



帰国の途…渡されたチケットは当たり前のように隣同士


広い座席で隣同士といっても肩が触れ合うことも足が当たってしまったり


ましてや偶然を装って触れる指の愛しているのサインも無く


何よりも雄弁に語る眼差しさえ失われて迷子のような気分…


話すなり謝るなりいっそ土下座でもしてしまうなり何かしなくちゃならないと思って…本当に心の底から思っているのに


そのどれもできずに帰国の途を終えた




帰国すると翌日から目白押しのスケジュール…最初はある雑誌のインタビューだった


10周年を迎えるというのでかなり長いページを割いてくれるという


事前に渡された質問の概要もそれに相応しく内容の濃いものだった


新しいアルバムやライブなんかの話はもちろんもっと深く人間性があらわになってしまうような質問


兵役の事や生き方の話…過去に起こった様々の事件


難色を示す事務所に反対した


法律上話せない事はあるけどでも10年を迎えてのインタビューならこれくらい突っ込んだ質問の方がいいんじゃないか、と


インタビューで聞かれる質問…それがどんなに簡単な質問でも僕は自分の言葉で喋りたい


事務所から渡された答えを丸ごと暗記して自分でない誰かの言葉を語りたくない


そんな事はもう当たり前に世の中に溢れている


喋った内容の一部分だけ取り出して全く違う意味をもたせたり


そんなのは…と思ってはたと気付く


自分の言葉なんて偉そうな事をいってインタビューは受けるのに


どうして一番大切な人に何も言えないのか


雑誌に向けて語る言葉の何分の一の言葉さえチャンミンには…




指定された場所に人影が見えて近付くなり丁寧な挨拶


紹介されたインタビュアーが落ち着いた中年の男性なのを少し意外に思う


先に来ていたチャンミンが立ったまま…僕が座るのを確認して隣に落ち着いた



「いつもそうなんですか?」


え、と聞き返すと笑いながら


「今ユノさんが座るのを見てからチャンミンさんが座ったんですけど…いつもそんな感じですか?」


聞きながらちょっと待って下さい、とレコーダーに手をかけて


「ちょっと台本には無かったですけどここから録っても構わないですか?」


と聞くのに頷いて


「台本も忘れてくれて構わないですよ…答えによっては質問が変わってくるでしょうし」


そう言うとおや、と眉をあげてこちらを見た


レコーダーにさっきのやりとりを説明すると、どうなんですかチャンミンさん?と唐突に


「まあ僕からしたらヒョンですしね…年上は敬わないと」


冗談めかした口調に


「僕もお二人よりだいぶ年上なんですけど敬ってくれますかね?」


チャンミンが考えておきます、と答えて笑いをとると一気に和やかな空気に包まれた


「可愛い弟ですね?」


「可愛いい以上ですよ」


ああ、と頷いて


「時々は憎い?お二人は活動も10年を迎えるということですけど仲良くやっていく秘訣は?」


今の僕には胸に突き刺さるような質問に少しの躊躇



「…真面目に答えても?」


「もちろんです」



「チャンミンは僕にとってもう可愛いい弟以上…本当の家族かそれ以上の存在です…」



そっと伺うと僅かに緊張しているようなチャンミンを感じながら話し始めた…




長いインタビュー


兵役や人生論…普段語ることのあまり無い硬質な話題に始まって


面白いエピソード…こっちが忘れていた話や記憶を甦らせてくれるような質問



素が出てしまうような答えを巧みに引き出されて充実したインタビューもそろそろ終わりを迎えて



「これが最後の質問なんですが…実はどうしても聞いてくれと頼まれてまして」


そうなんですか、と同じリアクションで質問を待つ


今までの質問がかなり深淵な内容だっただけにどんなのが…と身構えていると〈好きなタイプは?〉なんて普通の質問だったので思わず拍子抜け


「いや全くお恥ずかしい話なんですが実は娘がお二人のファンで頼まれてしまいまして」


その台詞は僕達を大いに喜ばせた


「それは嬉しいですね!」

「有り難うございます」


それでは…と向けられた視線


普段なら余り考えずに答えてしまう質問に今日は途切れ途切れ


言葉を選んで話しだした



「僕…僕は自分の悪いところとか欠点をちゃんと言ってくれる人がいいです」


隣のチャンミンの横顔が僕以外の誰にも知られないほど僅かにこわばって



「…と言うと?」



「僕ももう長くアイドルをやって来て回りのスタッフさんなんかにも年下の人が多くなって気を使われたり持ち上げられたり…どころか僕が間違っていても怖がって誰も注意してくれないとか…後で気付たりすると寂しいですよやっぱり」


「なんで言ってくれないのかって?」


「そうです。まあ僕が言わせないところもあるんですけど…そうでなくとも勘違いしやすい環境にいるじゃないですか?いつの間にかその気は無くても裸の王様になってたり…」


「だからせめて好きな人には僕をきちんと冷静に判断して言って欲しいんです。間違ってることは間違ってるって」


「それで怒りませんか?いざ言われたら腹が立ったりとかして?」


そうですね、と僕は苦笑した


「そうなっちゃうかも…でも言って欲しいから後から百回謝らないと」


頷いて返す言葉にようやく


ようやくこちらを見た瞳



「百回謝るんですか?」


「そうですね…それで駄目なら千回でも」



「千回ですか!一体ユンホさんが千回謝ってしまう相手はどんな人なんでしょうね…?」



インタビューを終え記念写真を取って


握手をして焦れた顔のマネージャ―に促されながら歩き出す


元々長い予定の時間をさらに超えたインタビュー


急き立てられて並んだ足並みに挫けそうな勇気を振り絞って


「チャンミナ…」


名前を呼ぶとここでは駄目、と伝えてくる目線が


それでも少し優しい…


黙って歩いて次の仕事に向かった





仕事を終え帰宅する段になってようやく二人きりでまともに話ができる


電話片手にマネージャ―が部屋を出るのを見計らうなり落ちる沈黙の中で名前を呼んだ



「悪かった…」



そうすると重なりあう視線


チャンミンは深くため息をついてごめんと続ける僕の言葉にもういいい、というように手をふってしまう



「相手が違いますよ」



「チャンミナ」



「ヒョンが謝って…話あわなきゃならないのは」



そう言って時計を見て頷くと黙ってしまった僕に少し早口で



「ヒョン…これから僕はマネージャ―を誘ってお茶でも飲んできます。一時間くらいはこの部屋誰も来ませんから」



座ったまま見上げるとその瞳は優しい…


口元にまだ僅かにのこる厳しさが逆に眼差しの優しさを露呈してしまう



穏やかな余韻を残してチャンミンは静かに部屋を出ていった

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