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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TENSE8(東方神起ホミン小説)

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病院に着いたのは夕方近く…挨拶もそこそこに車を降りようとして我にかえる


「本当に悪い…この埋め合わせは今度絶対」


言いかけるともうわかった、と追い立てるみたいな仕草に頭が下がる思い


脱兎のごとく車を飛び降りて病室に向かう足取りがだんだんと重くなりそうになるのを故意に無視して勢いのままヒョンの病室にたどり着いた



さすがにドアの前で少しの躊躇


少し近づいて様子を探ろうとして思いなおす


意を決してわざと乱暴に音を立ててドアを開ける…とヒョンがちょっと驚いたみたいな顔で出迎えてくれた



「チャンミン…あれ?帰るの明日じゃなかったっけ?」



ベッドに起き上がって目を丸くしたキョトンとした顔…時折見せる子供みたいな表情


辛そうじゃなかった…


一人でいても深刻に考えこんでいたり怒りをためこんでいたりしているような雰囲気では無かった


暖かな日の名残が柔らかな光になってヒョンを包みこんでいる



スポットライトやカメラのフラッシュみたいに強烈な光ではない…穏やかで暖かな心地のいい光



ドアのすぐ近くで立ちつくして動けない僕を見て


ページに指を挟んだままの本をわきにおいて怪訝な顔


「そんなとこに立ってどうしたの?」


穏やかな声…僕の様子を気遣ってくれる優しい響き


いつものヒョンがいた…そんな当たり前の事に不覚にも熱くなる瞼を悟られないように…


息を整えるとその瞬間どこからどうやって話せばいいのかわからなくなってしまって低く呟いた


「ヒョンは…」


「え?なに…聞こえないよ」


思い切り眉を寄せた表情…ベッドを叩いての手招きに蘇る記憶


〈…僕は犬じゃないんですから〉


ソファーを叩いて僕を呼び寄せたヒョンに文句をいいながら近づくと


〈テプン(ユノの飼い犬.ハスキー )はこんなことしても来ないよ〉


僕はテプン以下ですか、と悪態をつきながらそれでもヒョンの隣におさまるとちらりと僕を見て


何も言わずに素知らぬ顔をして読んでいた雑誌を少し僕の方へと傾けた





今押し黙ったまま近づく僕を見てちょっと不思議そうな困り顔


優しい顔…優しい声…でも僕はこう言ってしまいたくなる


ヒョンの優しさは時には酷く残酷だって


怒鳴ったり怒ったり…そんな風になりそうになると決まって外に出ていってしまう背中が


辛いときに微笑まれるのがどんなに残酷かなんて


ヒョンにはわからない


僕の為にヒョンがしてくれる優しさが時には僕を酷く傷つけるんだって…



「ヒョンは…」


僕の言葉に何かを期待してる風に愛嬌を見せるヒョンの笑顔


「ヒョンは全然完璧じゃないですよ…世間で言われてるほどカリスマでもないし忘れ物は多いし天然だし」


「…なんだよそれ」


僕の言葉にちょっと憮然としたヒョンを見つめながら



「片付けは出来ないしゲームに夢中になって廻りからひかれてるし…おまけに頑固で融通がきかないし」


憮然とした表情がちょっと怒りに変わって…そしてなんだか急に合点がいったように優しい口調


「チャンミン…なにキュヒョンとケンカでもしたの?」


思い切り首を振って否定


「なんでキュヒョンが出てくるんですか…違いますよ!僕が言いたいのはヒョンも決して完璧じゃないって事です」


複雑な顔をして何やら言いかけるヒョンに向かってストップ、とジェスチャー


「待って下さい…僕が言いたいのはヒョンは完璧じゃないけどでも決して…決して卑怯者じゃないって事です」


告げた途端鋭く僕を伺う視線


「チャンミナ」



「ヒョンが卑怯な振る舞いや卑劣な行為をするなんて僕には考える事すら出来ない…一番ヒョンの近くにいる僕がそうなのになんでヒョンの事をなんにも知らないような人があんな…」


「一体何だって言うんです?どれだけヒョンが努力して…それにファンが待っているのにわざと怪我するなんてあり得ない…他の人ならいざ知らずヒョンに限って絶対あり得ないですから!」


視界の端にヒョンの手…伸ばされたその手を振り払う


「10年ですよ、10年!…それだけやって来てここに来てまだそんな…」


何故だか目の前のヒョンにぶつけてしまう怒りに任せた言葉


「何にも伝わらないんですか?僕達の努力も払ってきた代償も何もかも無駄って事なんですか?」


激昂しながらも頭の芯で渦巻く問い


ヒョンに詰め寄るなんてどうかしてる


でも…一緒になって怒ってくれないヒョンに感じてしまう微かな苛立ち


立ったまま矢継ぎ早…興奮と怒りに目眩を覚えたような感覚がヒョンの冷静な声で落ち着きを取り戻していく


気がつくといつの間にか僕はベッドの脇の椅子に腰掛けていて


ヒョンが手を握って僕の名前を呼び掛けていた


うっすらと赤いモヤがかかっていたような視界が晴れて目の前にヒョンの顔


焦点が合うと途端に恥ずかしくなるけどまだ残る怒りがそれを打ち消してしまう


黙ったまま握られていた手を握り返してからそっとほどこうとしてまた強く握られた



「お礼を言わないとな…代わりに怒ってくれて」


除き混むヒョンの視線を避けて横を向く


不意に廊下から聞こえる人声に乱暴にヒョンの手を振りほどくとヒョンはその自分の手に視線を落として


そして静かに語り出した

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