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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TENSE7(東方神起ホミン小説)

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帰りの運転は僕がするはずだったけどお前は今運転しない方がいい、とさっさと運転席に乗り込んだキュヒョンと争うような余裕は正直無かった



走り出した車に少しだけ安堵するけど心ははやる…



まだ震えの残るような手で電話を握りしめていると横目で僕を見て



「…かけないの?」



頷いてから頭をふる…電話では駄目だ



でも万が一…絶対無いだろうけど万が一にでもヒョンから連絡があったら



僕が記事を読んだなんてヒョンは知らないんだから連絡なんてあるわけない…



普段僕がキュヒョンや他の仲のいい友達といるときヒョンは絶対にメールも電話もしてこないんだからあるわけないけど…



僕の雰囲気を察したキュヒョンが低い音量でBGMをかけてくれると、落ち着いた音楽が張り詰めたような車内の空気の中を穏やかに流れていった







緊張状態で何時間もいることは難しい



緊張していると思っていても実際にはどこかが弛緩していたり…思考もとりとめなく拡散してしまったような頭に響く声



「お前とユノ先輩ってさ…」



僕とヒョン?



その言葉にドキリとしたけどおくびにも出さずに物憂げに目をやる



「まあでも人数違うし…お前達みたいに2人きりならそうなのかな」



「…なんの話だよ」



思わず口を挟むとぼそぼそと



「いや…なんか僕ならどうするかなって…例えばハルボジ(スジュのリーダー イトゥクのあだ名 意味はお爺さん)とか誰かメンバーに何があったって旅行切り上げてまでかえるかなって…」



「キュヒョナ…」



と言うとちょっと慌てて付け加えてくる



「いや文句じゃなくてただ凄いなってだけで他意はないから…」



僕は言葉も無い…



僕が大袈裟なのはわかってる…ひょっとして他の人から見たらそんなことくらいで、と言われるくらいな事に過剰反応しているのも



ヒョンだっていい大人なんだし今さら記事でちょっと叩かれたくらい何でもないのかも



そんなことはわかってる



それでもなお…馬鹿みたいだと思いながらもいてもたってもいられない心



隣でキュヒョンがちらりと僕を伺うような視線




「なんか余計な話してごめん…何となく思っただけだからあんまり深く考えないで」



何をどう言えばいいかわからずに言葉を探して落ちる沈黙に耐えかねて窓を見やる




ややあってキュヒョンがぽつりと呟いた



「ただちょっと羨ましいかなって…」



ポツリとキュヒョンの呟き



そんなことはない…スジュのメンバーはいつも和気あいあいと楽しそうだ



レッスンの時も何だかわいわいがやがやと…何となく練習生の頃のようなムードがある



僕達とは違う…ヒョンはことレッスンに関しては真面目過ぎるほど真面目でいつも真剣勝負



そんなヒョンを尊敬しているけどちょっと疲れてしまう時があってしまうのも本当だった


時には息詰まるようなムードの時もあって…そんな時隣の練習室から聞こえる笑い声に誘われて覗いたつもりがつい長居してしまって



あるテレビでイトゥク兄(ヒョン)に



〈チャンミンは本当はスジュに入りたいんじゃないか?〉



〈いつも僕達の練習室に遊びに来ている…もうメンバーみたいなもんだ〉



なんてネタにされてしまって



バラエティーの事だし適当に調子を合わせて


〈そっちは楽しそうで羨ましい〉



〈本当にキュヒョンを追い出してスジュに入りたい〉



どっとお客さんの笑い声が響く中ほんの一瞬だけ隣から感じた冷たい空気



ヒョンが無表情のまま僅かに視線をそらせた




次の日湧き上がった騒動に愕然とする



まだ2人で再結成間もない頃…アンチの絶え間ない活動が続いている頃だった



僕の発言がSNSや動画でアップされていて



大きな赤い字でついたキャプション



〈チャンミンも辞めたがっている〉



〈2人の活動に不満続出!〉



〈また解散…やっぱりリーダー失格か?〉



僕の不用意な発言がヒョンを叩く絶好の材料にされていた



瞬く間に広がる噂と情報になすすべも無く



心配したイトゥク兄から謝られたり周りの人からさえどうなってるんだなんて言われてしまう始末





…ヒョンは何も言わなかった




録画を見ると僕の発言に沸く会場と他の出演者の中でヒョンだけが僅かに固い表情をして


認めたくない…けど僕はヒョンを傷つけた




ある動画…ヒョンの周りにメンバー皆がいて



一人…また一人と席をたつ



最後に僕がヒョンのそばを離れて



俯いたヒョンの後ろ姿がモノクロになってそこに浮かび上がる言葉



〈そして誰もいなくなった〉






随分後になってマネージャーからあの時僕を呼び出して厳重注意しようとしてヒョンに止められた、と



他のグループの練習室に自由時間でも立ち入り禁止にしろなんて社内の意見すらあった


それにもヒョンは反対したと聞いて…



〈休憩時間にどこに行こうが番組で何を言おうがチャンミンの自由にさせて下さい〉



〈何を言われたって…それが今の僕達の現実なんですから〉




とにかく嘘でも何でも仲の良さをアピールしろ、と会社に言われた時もヒョンは静かに



〈自然な感情でそうなるならともかく無理矢理になんて僕は嫌です…喧嘩したって何だって…まあ人前ではしないようにしますけど〉



渋面の首脳陣に向かって



〈他の事は何でもアドバイス頂きます。でもチャンミンも僕もアイドルである前に一人の人間です。人間である以上そんな感情までコントロールするのは不可能…では無いかもしれないですが僕は嫌です〉



〈チャンミンと僕の事は自分達に任せて下さい…何もいがみ合っている訳じゃないんですから自然でいさせてくれれば…〉





水を打ったような静かな部屋に染み渡る言葉を内心信じられないような気持ちで聞いていた…






ヒョンの言葉通り時には喧嘩した…喧嘩と言うか僕に言わせれば意見の相違なんだけど



その事自体が最初は信じられなかった



マンネでいた頃はヒョンとまともに議論したりなんて事すら考えられなかったんだから








ある時急にヒョンが思い出し笑い



ベッドの中で冗談混じりに



〈仲の良さをアピールしろってさ〉



〈…なんかそんな事言われましたね昔〉



僕の欠伸混じりの返事に悪戯そうな顔をして布団を意味深に持ち上げながら



〈…アピールしたらどうなるかな?〉



咄嗟過ぎて言葉に詰まるけど赤くなるのが自分でもわかるくらい



手荒く布団を直して背を向けた……











遠慮がちに名前を呼ばれて我にかえる



「PA寄るから…」



ああごめん…運転代わろうか?と聞くと別にいいよなんて



キュヒョンにも埋め合わせしなきゃな…なんて一瞬思ってもまたすぐに現実を離れて脳裏に浮かぶ顔



電話を握りしめていた指から不意に力が抜けて落としそうになり慌てて持ち直し



次第に都会になっていく景色に目を向ける



いつもなら現実に引き戻されて少しナーバスになる光景に今は胸をなで下ろす



後少し…ヒョンの顔を見るまで後少しだと

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