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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TENSE6(東方神起ホミン小説)

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翌朝先に潰れたキュヒョンの方が青い顔をして憎らしげな口調



「何でお前の方が平気なんだか…」



「そんなの知らないよ。ちょっと大丈夫か歩けるのかよ?」



有名な景勝地でハイキングの予定



朝食べたら大丈夫だから、と聞いて一安心



食べれるくらいなら二日酔いとはいえないしな、なんて軽口をたたきながら身仕度していると寝起き早々タブレットをチェックし始めるのにちょっと呆れてしまう



顔でも洗おうと立ち上がると呼び止められて生返事…が内容を聞いて一瞬固まった



「ユノ先輩ツイートされてるわ…なんか病院で見たって」



「……」



無言で座っているキュヒョンの後ろからタブレットを覗きこむ



身内が入院しているらしい投稿者がヒョンの様子を書いていた



廊下で誰かと喋っていたらしい…見舞い客が沢山きていたとの記事に胸をなで下ろす



人と会えるくらいなら本当に大したことないんだろう



見舞い客のリストにちょっと嫉妬心がわいたけどそれ以上に安堵の心



大丈夫だから、と何度否定されても何故か信じられなくて疑ってしまっていた



途端に昨日の夜のちょっとナーバスな気持ちさえ吹き飛んで俄然張り切って楽しもうなんて現金な心変わり



いつになく気分良く朝を過ごした











ハイキングを終え汗だくになってシャワーを浴びに戻る道すがら



ちょっと息の上がったキュヒョンの情けなさそうな作り声



「ハイキングなんてもんじゃないじゃん…登山だよ登山」



「その分景色良かっただろ?」



飲み過ぎだよだいたい、とからかうとすねた振りをして先を行く



「お前みたいな体力馬鹿と違って俺は繊細なの!全くライブでもあるまいし…」



汗を拭いながら文句混じりのジョーク



「僕のどこが…うちの体力馬鹿は担当が違うよ」



キュヒョンは笑い声をあげて



「あの人は別格」



そう言ってちらっと僕を振り返った



ややあって小さく早く良くなるといいな、と


頷いてから大丈夫、と付け加えた



「ヒョンは大丈夫だよ」



言いながら自分の言葉がヒョンの言葉の繰り返しだと気付いてふと鈍る語尾







しばらくお互い無言で山道を行く足音とざわつく風の音…時々思い出したように鳴く鳥の声に耳を傾けた




「二泊にしといて正解だったな」



「確かに早く汗流したいわ…俺が先ね」



何でだよ、と先を歩くキュヒョンのリュックを引っ張る



子供みたいにじゃれあいながら競争したりなんかして



「先に着いた方が先にシャワーな」



やってることも小学生並だ



登山道を抜けて平地になるなり2人して駆け出した…








団子みたいにもつれ合いながら我先にとホテルに入るとさすがに大人しく並んで部屋に向かった



結局ジャンケンをして勝った僕が先にシャワーを浴びて出てくると何だかちょっとキュヒョンの表情が暗い



疲れたのかな?と思ってすぐにシャワーに向かった背中に声をかけようとしたけどタイミングを逃してしまった






シャワーから出たキュヒョンに夕飯どうする?なんて話しかけながらタブレットに手をかけるとうわっと突然の大声



驚いてなんだよ?と見やると僕の座っているソファーまで足音がするくらい乱暴な大股で歩いてきて



…そこまで来て何だか困って固まった顔に



「エロいやつでも見てたのかよ」



軽口を挟んでも乗ってこず…黙ってタブレットを取り上げたから急に恐怖にかられてしまう



「キュヒョナ…」



突然弱くなる僕の口調にいつになく真剣な顔をしてタブレットを差し出して



「…覚悟してから見て」



渡されたタブレットに視線を落として



読み始めてすぐに全身が燃えるように熱くなる



ヒョンの怪我の記事を大々的に扱ったサイト



その怪我が兵役回避の為のでまかせだなんて酷い記事だった



ヒョンを卑怯者呼ばわりまでしてなんの根拠もない根も葉もない作り話を事細かに



曰わくステージのカリスマは実生活ではただの臆病者だ…



迫り来る兵役を前に卑怯にも自ら怪我を買って出た



活動を中断した実績をもって兵役回避を図っている……なんて



読み進むほどに言葉を失う



悪態すらつけずにきつく唇を噛み締める



全身が怒りの余り震え始めたのを心配そうに見つめてくるキュヒョンの存在すらどこかへ消え去ってしまい



頭の芯が焼けるみたいな感覚




記事自体も酷いけれどそれに対するサイトの管理人の賛同の書き込みも思わず読むのを止めてしまいたくなるほど



さらにそこにまた書き込まれている賛同者のヒョンへの誹謗中傷



もうアンチなんて過去のことだと思っていたのに…



最初に感じた燃えるような怒りに突然差し込む恐怖



あまりの悪意…憎悪の前に



そしてふと気付いてしまうそれを上回る恐怖


──ヒョンがこれを見たら



慌てて記事の元をたどる



現れた日付を見て跳ね上がる心臓とフラッシュバックする記憶







あの日それまで穏やかな空気…タブレット片手に僕を見送っているヒョン



生クリームを買いに出て帰るなり玄関ですぐに感じた違和感



ヒョンの硬い背中の表情



僕を見てすぐに向けられた笑顔…作りたてみたいな笑顔



タブレットを落とした?壊した?何やら言っていたうっすらした記憶を必死にたどる



走馬灯のような記憶



デビュー間もなく携帯のゲームにハマっていたヒョンのゲームを間違って消してしまって


ヒョンの余りの怒り方に僕は自分がやったと名乗り出ることが出来ずに



犯人が名乗り出ないのにヒョンは烈火の如く怒って携帯をへし折ってしまった



滅多に無いけれどヒョンは怒ると本当に怖い


タブレットをへし折るのは無理だろうけど画面を粉々くらいにはしてしまうだろう…



ヒョンはなんて言っていた?



お願いがあるとか何とか…そうして僕からはタブレットを取り上げた



そう思い至って気付かされる事実



僕はタブレット以外でサイトだの記事なんかを見ない



画面が小さいし面倒だと思って



現にキュヒョンに言われなければ…もしくはキュヒョンのタブレットが無かったら僕はこのサイトも酷い記事も見ることは無かったかもしれない



ヒョンは僕からこの記事を隠していたんだろう



僕が怒るし動揺して心配するから…









立ち上がり無言でベッド脇の荷物を取り上げて



いつもなら綺麗に畳む洋服をめちゃくちゃに放り込んでいく



チャンミン、と僕を呼ぶキュヒョンの声にも返事すら忘れて一心不乱…していると乱暴な手を上から止められた



「まず落ち着けって…深呼吸しろ深呼吸」



一旦休めた手は震えが止まらない



床に座り込んでベッドに背中を預け髪の毛をかきむしりながら毒づいた



「会社に連絡したらもう法務部から連絡したからって…」



そう…とぼんやり呟いた



ヒョンも見た…僕も見た…そのほかにも沢山の人が



記事を面白がる人や煽る人や信じ込む人



まともに相手には出来ない…実際ちらほらとヒョンへの擁護もあったけど見事に叩き潰されていた 



ふと見やるとさっきまで所作なさげに僕のそばに立っていたキュヒョンがバタバタと動きまわっているところと目が合った



キュヒョンが自分の荷物を片付けているのを複雑な気分で見守る



僕はもちろんすぐに帰るつもり…タクシーでもなんででもそうするつもりだった



キュヒョンは…キュヒョンには悪いけど僕と帰ってもらうにしたってこのまま一人で旅を続行してもらうにしたって



結局どちらにしてもキュヒョンの旅行を台無しにしてしまうことに変わりないだろう




「考えてみたらもう十分楽しんだよな」



「キュヒョナ」



「ちょっと早いけどもうソウルが恋しいよ」


とっさに喉がつかえて…ありがとうの言葉は声にならない



いいって、という風に手を振りながら早く荷物詰めろよ、なんてぶっきらぼうに



怒りに満ちていた心が少しだけ軽くなった

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