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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TENSE5(東方神起ホミン小説)

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「僕は何も…僕がいると迷惑ですか?」



答える僕の声は震えている…



「勘違いしないで…お前がいてくれるのが嫌なんじゃないよ…それが廊下でもどこだって構わない…それは本当に嬉しいし僕もそうして欲しいと思うけど」



「だったらなんで」



駄々っ子みたいな僕の態度



「さっき説明したろ?お前が…」



ヒョンの言葉を遮って



「明るくしますよ!気詰まりにもなりません…誰がいようがヒョンの手も握りますし何ならもっと…」



僕の言葉…必死な物言いに痛ましいものを見るようなヒョンの姿



僕は自分で自分の言葉に打ちのめされる



…手を握るだって?ご両親の前で?



…それにもっと?もっとって何だ?



…キスでもしてみせる気か?



一体どんなことになると思ってるんだ…?





無理だ、と思い知る



そんなこと出来そうにない…



昨日だってヒョンが一人なのを知って内心ほっとしなかったと言えば嘘になるのに




2人の間のピリピリと肌を刺す空気がヒョンが僕に笑いかけると少しだけ弛緩した




「僕は入院して良くなるんだから…それに楽しみにしてたじゃないか」




そうだった…聞かれもしないのに会話の端にどこに行くとか何を食べるとか



ヒョンはあんまり熱心ではなかったけどそれでも頷いて聞いてくれていた…



ほら、とがらりと明るい口調で



「行く気になっただろ?」



「…そんなこと無いです」



いうと大げさなゼスチャー



「キュヒョンに悪いよ…ごめんなキュヒョン!」



なんて隣の空気に謝っている



「お願い…今回は譲ってよ」



噛み締めた唇も握り締めた掌も全身が拒絶しているはずなのに



「旅行に行って楽しんで来て?」



ヒョンの優し気な言葉がそれ以上の反対を許さない…



俯いたまま無言の承知に隣に座って肩を抱いて覗き込まれる顔



懐柔しないでくれと突っぱねることも気分を切り替えて微笑み返すことも出来ずにただそうしてしばらくの間



しばらくの……









結局次の日の朝早くヒョンを病院に見送ってから旅行に行くということで決着がついた

     

「わざわざありがとう」



無言で頷いた僕はまだ上手に笑う事が出来ずに



「旅行に行くのにわざわざ来てくれたんだ」



ヒョンが両親に説明するのを聞きながら頭を下げるとありがとうなんて御礼を言われてしまって



僕が持ちます、とヒョンのボストンバックを半ば強引に譲り受けて車に乗り込んだ








全部の手続きがすんでいざ出発の時間…キュヒョンが車で迎えに来てくれる算段になっていた…が連絡が来てもなんとなくぐずぐずしているとヒョンに注意されてしまう



「チャンミン…もう時間じゃないの?」



素っ気なくいいんですよ、なんて僕の言葉に微妙な空気が流れた



「チャンミナ」



ヒョンから急かされるのは耐えられない…



おもむろに席を立ちじゃあ行きますから、と告げると少し笑って優しい顔をして



「楽しんで来いよ」



曖昧に頷くと



「チャンミナ?」



「わかりました」



と言っても不服そうな顔に根負けして



「楽しんで来ますって」



若干キレ気味の台詞を投げつけたけど付け加えずにいられない言葉



「もし何かあったら…」



思わずすがりつくみたいな物言いを手を振りながら大丈夫大丈夫、と笑い飛ばして



「僕は本当に大丈夫だから。お前はキュヒョンと楽しんでくればいいの」



そう言って笑いながら追い払うみたいな仕草


そうやって僕が背中を向けて歩き出してしまうまでヒョンはずっといつもの笑顔を浮かべていた














なんやかんや言ってもいざ車に乗り込んで出発してしまえば後は楽しむしかない



元々楽しみにしていたモクバングルメ(グルメ旅行)



名所旧跡を見ながら何が美味しいかなんて再チェックしようとして



──そういえば



…はたと気付いて大声をあげると運転席から非難の声があがる



「なんだよ…急に大声出すなよ危ないな」



「ごめん。ちょっとタブレット忘れて」



「なんだよ忘れてきたのか?」



実際には昨日ヒョンに貸したままなんだけど


仕方なく携帯を取り出してふと考える



ヒョンのタブレット…壊れだのだのなんだの釈然としない態度に抱いていた疑問は目の前の景色にあげたキュヒョンの歓声で跡形も無くかき消されてしまった






モクバングルメの名前の通り昼食から山ほどのご馳走を食べ尽くして夜に着いた宿でまた豪華な食事のお出迎え



昼間にアップしたSNSの反応に気を良くしたキュヒョンは料理が出てくるそばから撮影に余念がない



僕もヒョンもTwitterやインスタグラム…その類いの事は全くしていない



その事を残念がるファンもいるようだけどファンとのつながり方は人それぞれ



絶対やらないと決めているわけでもどうしてもやりたい訳でもないからなんとなくやらないでいるけどそれで済んでいることに安堵もしていた



何と言っても言葉は難しい…



ふとした発言が曲解されたり問題になったり


自分の意図とは違う風に解釈されて弁明してもまたそのことすら曲解されて…なんて



考え過ぎかもしれないしまわりにもそう言われるけど仕方ない



時々キュヒョンのSNSに現れるぐらいが僕には丁度いいな、なんて思いながら向けられたカメラに笑顔で収まった





ほどなく酒が進み座が温まると馬鹿話に盛り上がったりちょっと真剣に語り合ったり



最新のゴシップやら何やら一通りすぎて酔うほどにいつも同じ様な話に辿り着く



誰が誰と付き合っているとか誰がいいとかに始まって語るだけの理想や過去の思い出まで記憶の底から引っ張り出して



そんな中決して上がらない名前



キュヒョンとは他のどんな事でも話し合って…お互いにばらされたくない秘密を握りあうような仲だけどそれでも



正直に話せば面白がって他言したり気味悪がって避けたりはしないはずだって頭では分かっていてもなお



一番の親友にさえ話せない恋



僕がどんな人間でどんなことをしてどんな考えを持っていたとしたって全て帳消しになってしまう



食べ物や飲み物や好きな曲…好きな服装や考え方がどんなに違っていたって



〈そっちの人〉と一括りにされてしまってそれ以上でもそれ以下でも無くなってしまう



何よりも怖いのは変わってしまうこと



キュヒョンの僕を見る目や態度やこの関係が変わってしまったら…




「何さっきから暗いんだよ~」



「…今日はこういう酒なの」



しなだれかかってくる腕をよけながらグラスを死守するとキュヒョンは酔っ払った、なんて言って床に寝そべりながらもぺちゃくちゃしゃべり続けている




「結局お前は理想が高すぎるんだって」



酔って恋愛の話になると最後に必ず言われる言葉



「別に高くないよ」



「十分高いって…なに綺麗で笑顔が素敵で性格が明るくて?料理も上手で?」



「若くて素直ならなおいいけど」



なんて言うと贅沢だよ、と足を蹴られた



「なんだよ正論だろ?」



仰向けになっていたのを体を横にしておまけに人を指差して



「だから彼女出来ないんだよ」



「理想低い癖に彼女いない奴に言われたくないね。贅沢ついでに背は高くて酒も飲めた方がいいかな」



付け加えると馬鹿にしたように鼻で笑われて


「いたとしたら奇跡だよそんなの」



そりゃそうだって僕だって思うけど



でもいつも言葉で語るだけの理想は思い切りハードルを上げて大げさに



…そうすれば誰か紹介しようかとかそういう機会が減るに違いない



仲間内で交わされる伝達や紹介の席を設けられたり…そういうアプローチは確かにあって



電話番号やメルアドを渡されたり



僕は貰っても一切自分から連絡はしないけど実際そうやって付き合いはじめたカップルも沢山いる



綺麗な女性を見て過剰な反応…実際綺麗な女性を見るのは嫌いじゃないけど



目の保養にはなるしまあ造形美として綺麗だなと思うし



女の子が大好きだけど理想が高すぎてだから特定の相手がいないんです



そうやって作り上げたイメージ通りの発言や態度を繰り返しているうちに段々何やってるんだか自分でもわからなくなったり



親身にアドバイス…まあ酒の肴程度なのかもしれないけど…してくれるキュヒョンには申し訳ないけど



でも全部が嘘じゃない…むしろ本当にそう思ってるし思いたいんだって



僕だってもし女の子と付き合うなら綺麗で性格が良くて明るくて…そんな子がいいもの



言ってる事は嘘じゃない…ただもしそういう子がいたって付き合わないだけだ











いつの間にか隣で寝転んだキュヒョンから聞こえてくる寝息



2人で飲んでいても大概僕の方が酒が強いけどそれにしても今日は特別酔わないみたいだ



酔えない酒なんて意味が無いな



一気にグラスの中身を飲み干した

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