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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TENSE4(東方神起ホミン小説)

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韓国の三大テレビ局の収録は週末に行われる事が多い



ヒョンの怪我でキャンセルになった仕事



昨日までヒョンに会う気まずさを避けようと無理やりスケジュールを入れて下さいなんて言っていたのに



朝早くヒョンのところへ顔見せに来たマネージャーに今度は絶対スケジュールを入れないでくれと頼み込むと呆れた顔を通り越して鉄面皮みたいな無表情



ヒョンが席を外した瞬間急にまくし立てる僕に冷静な声




「今日はまあテレビの収録無くなりましたし…そう言えば明日から休み取ってますよね?」



頼み込んで無理やり取ったオフだったから覚えていて当然なんだけど



「だから念のため…」



「…じゃあ今日も休みと言うことでいいんですね」



皮肉混じりの返事にも腹はたたない



頼みます、と頭を下げるとヒョンが現れて



明日からの入院の話や細々と…程なくしてマネージャーは帰って行った











昼過ぎまでダラダラしているなんてのは本当に珍しい…



何かしなきゃな、なんて思いながらも寝転んでいるヒョンの横でタブレットを眺めて気になったゴシップを報告したりゲームを覗き込んでみたり



何より何かしなきゃな、なんて思う贅沢



スケジュールが目白押しの毎日では正直他の事は何もやりたくないと思ってしまうのに



あ─あ、なんてゲームに飽きたらしく身体を伸ばしたヒョンに




「何か食べます?」




食欲が無いと言ってヒョンは朝ご飯もほとんど食べずにコーヒーを飲んでいた



思わず顔を曇らせると



「そんなんじゃないから」



僕は何も…と呟くと



「お前の考えているような事じゃなくて純粋に動かないからお腹がすかないだけだから」


「だから僕は別に…」



そう返すと



「お前が考えている事なんて僕はすぐわかるんだから」



勝ち誇るみたいに言われて思わず緩む口元を隠そうとグラスを口にあてた…




そんな今朝の会話を思い出しながらヒョンの返事を待つ



「…何でもいいの?」



聞かれて肩をすくめてうなづいた



どこか食べに行きたいとか?何か買ってくるにしろヒョンの食欲が戻ったなら多少高くても遠くても…




「じゃあカルボナーラ作って」



え?と聞くと え? とこだまみたいに



「ごめん…面倒くさい?」



「そうじゃなくて…そんなんでいいんですか?」



拍子抜けして聞くとうん、と首を振って大げさに喜んでみせるヒョンを眺めて僕は不思議な気持ちになる





〈ユノ先輩ってどういう人なんですか?〉



ある日後輩から質問



〈どういうって?〉



と聞き返すとメンバー同士顔を見合わせてだってなあ、なんてしたり気まずそうな態度



〈余りにステージと違いすぎて…どっちが本当なんですか?〉



事務所の鍵を無くして大騒ぎになったのはヒョンが一番最初だった



パスポートは三回も無くして厳重注意…今ではマネージャーが管理している




ステージのカリスマからは程遠い姿



警備員の阻止も無視してファンからもらった花束に顔ごとうずめてしまう…



歌番組でライバルのファンに気軽に話しかける…あの曲いいよね、なんて話しかけられてびっくりしていた子も休憩時間が終わる頃にはすっかりヒョンの虜になっていた



昔ファンからもらった飲み物に劇薬が入っていて…大事はなかったけどしばらくトラウマになってしまい蓋の開いていないペットボトルの飲み物さえ飲めなくなってしまって



僕が蓋を開けて一口飲んでから渡すと理解して満面の笑み



そんな思いをしているのに犯人が捕まるとあまり極刑にしないでくれと



マスコミやファンが大騒ぎするのも止めて欲しい


反省するだけの刑は必要だけどこの事でマスコミや世間的に必要以上に罰せられたりして人生を棒に振って欲しくない……





ヒョンはどうしてそんななんだろう?


どうしてそんな風でいれるのか…




〈ユノ先輩ってどんな人なんです?〉



返事に窮してしまう質問



だってヒョンのような人はいない



僕にとっても永遠の謎なのに……






「チャンミン…面倒なら出前でも取ろうよ」



しばし忘却の彼方にいた僕をヒョンはちょっと困った顔をして見ていて



「大丈夫簡単ですよ」



なんて言ってキッチンに引っ込んですぐ戻った僕を見るヒョンの顔には疑問符




「ヒョン…ちょっと待てますか?」



「なに?何か無い?」



「生クリームがなくて…無しでも作れるんですけど」



そうだっけ?なんてヒョン



カルボナーラは2人になって初めて僕がヒョンに作った料理だった



美味しいと言って食べてくれたけど特別凄いリアクションは無かったように思う…




何日か後テレビの収録で好きな料理を聞かれてヒョンが突然カルボナーラと言ったので僕は驚いてヒョンの顔を伺った



デビュー当時からもう何年もずっとヒョンは好物を韓定食と言っているのを知っていたので…



司会者の進行のメモにもそう書いてあったらしい



「ここにはユンホさんの好物は韓定食と書いてありますが…」



ヒョンは笑いながら



「今はカルボナーラなんです」



心境の変化ですか?なんて質問に



「本当は何でもいいんです…作ってくれるっていう気持ちが大切なんで…」




そう言って目を合わせようと向けてきた顔の気配に僕は頷くふりをして下を向いて…





一瞬にして蘇る記憶



そうなると何だか完璧に作ってあげたいななんて思って生クリームが無いのがちょっと許せなくなってきてしまう




どうせなら僕が一番美味しいと思うものを作ってあげたいな、なんて柄にもなく




買いに行こう…どうせサラダだの何だのも作りたいし



キッチンは材料も食べるものもまだまだ沢山あったけどどれも韓国食材ばかりだった





「すぐ戻りますから」



急に決意して言いながらもう急ぎ足の僕を見て慌てたみたいに



「わざわざなら…」



なんて立ち上がって言いかけるヒョンに笑顔ですぐですから待ってて下さい



そう大声で返して部屋を出た








異例の早さで買い物して──普段はもっと熟考するんだけど──戻ると何だか部屋の空気がおかしい



静かにリビングに入るとヒョンはソファーに座って後ろを向いていたけど何だかその背中が緊張している



「ヒョン…?」



僕の声に振り返ったヒョンが微笑みながらおかえり、と



一瞬感じた違和感はすぐに霧散した



「──大丈夫ですか?」たまらず聞いてしまう



「何が?」



「説明しづらいんですけど何だかさっき空気が違ってたみたいで…」



というと何言ってるの、なんて笑顔を向けられて



「チャンミンは心配症なんだって」



「でも…何か隠してないですよね」



「…何かって?」



微笑んだままのヒョンの眼差しは優しい…優しすぎるので僕は胸が痛くなるけど



「嘘ついたりしてないですよね…足の怪我の事で」




「…もっと重症だとか?無理してるって?」



まさに我が意を得たりのヒョンの言葉に声をあげて



「そうです」



「…ついてないよ」



まだ納得のいかない曇り顔にヒョンが芝居っ気たっぷりに右手を挙げてみせた



「誓います」



僕が怪訝に眉をあげると



「足の怪我について嘘ついたりしてません」


「ヒョン」



「僕の大切な人が信じてくれないので…嘘だったら…チャンミンどうしたい?」



僕は首を振ってもういいです、と降参する



ヒョンが含み笑いしながら何やら言いたそうなのを無視してキッチンに逃げ込んだ







昼下がりの中途半端な時間の食卓は柔らかな暖かい光に包まれて



長かった冬の寒さを一時忘れてしまうほど



穏やかな春の気配が窓から見える景色や歩く人の早さや表情までも変えていく



馬鹿みたいに単純なコマーシャルみたいに絵に描いたような幸せな風景の中で僕とヒョンはどう見えるんだろう



絵に描いたような幸せならここには家族…夫婦と子供とペットなんかがいたりして



そういう風景だけが完璧な幸せなんだろうかなんてとりとめのない思いは破られる



だってそういう理想より僕はヒョンといる現実を選んでしまうって僕だってもう分かっているんだけど



でもその確信さえ心もとない……






グラスをフォークで叩く音に顔を上げるとヒョンが見つめていて



「なんですか…スピーチでもするんですか」



「お前が目開けたまま寝てるから起こそうかなと思って」



そんなこと無いですよ、と冷たく



「ヒョンじゃあるまいし」



と言ってもとまだ離れない眼差し



「でも遠くにいたよ」



「ヒョン」



「だから呼んだんだ」



思わず俯いて逃げる視線



「…いいから早く食べて下さい」



精一杯の虚勢にヒョンは皿を少し傾けて空になったのを見せてくる   



「美味しかったよ。ありがとう」



「…いつでもどうぞ」



真面目なお礼が照れくさく…冷えて少し固まった自分のパスタを慌ててかきこんだ










食事を終えてリビングにコーヒーを持って行くと振り返ったヒョンから急に



「お願いがあるんだけど…」



手を合わせて拝まれて



「なんですか一体」



なんだろう…内心の動揺を悟られないようにぶっきらぼうな口調でヒョンの言葉を待つ



「チャンミンのタブレット貸して」



…全く予期していない返事に思わずはあ?なんて言ってしまってから咳払い



「まあいいですけど…充電切れました?」



と見るとヒョンのタブレットが無い



「僕の壊れちゃった」



「え?さっきまで見てませんでした?」



僕が出かける時ヒョンはタブレット片手に慌てて立ち上がっていたような…



僕のタブレットを見つけて生返事のヒョン 



「見てたけど…落としちゃって」



「…その落としたやつはどこにあるんです?」



ごにょごにょと用を得ない返事にため息をつきながら読みかけの雑誌を手に取るとまたまったりとした時間が流れて行った









夕方になると急にヒョンが大声で



「さて、と」



寝転んでいたのを起き上がって



「明日の準備もあるしそろそろ…」



なんて言うのを聞きながら少し芽生える疑問


そろそろって…?



「お前は帰らないと」



何気なく告げられた爆弾のような言葉



「え…」



凝視すると少し困ったような…でもきっぱりとお前は帰って準備しないとな、なんて





「何言ってるんですか?僕に何の準備が…」



言いかけて気付くのと同時のヒョンの声



「明日からの旅行の準備があるだろ」



瞬間息をのんだ



「ヒョン!」



思わず詰め寄って…肩にかけられた手を振り払うと低い声で名前を呼ばれて



「僕は行きませんよ」



呟くと優しく



「お前は行くんだよ」



なあ、と諭すような口調



「僕は入院しちゃうんだし両親も来るし…そうなったらどのみち遠慮して病院の廊下にでもいるんだろ?」



「…それのどこが問題なんです?」



というと少し笑った



「全部だよ!なんでお前が廊下に居なきゃならない?なんで病室で堂々と僕の手を握ることが出来ないんだって…」



「ヒョン」



「お前にじゃない…そうさせてしまう自分に腹が立つし何より…」




突然のヒョンの独白に視線を落として思わず俯いた



「そんなこと…」



途切れた言葉…伸ばしかけて合いそうになるとそらされる視線



静かなヒョンの声がぎこちない沈黙を優しくなだめるように



「…僕が悪いな」



顔をあげるとわずかに首を振っている



「お前にだけこんな…僕だって両親や周りに言ってしまう勇気も無いのに」



「そんなの論外ですよ」



僕の言葉にも首を振っている




「僕は嫌なんだ…」



眉をあげて無言で何が、と



「見たくないよ…うちの両親の前でお前が何だか小さくなってたり気詰まりそうにしていたり…何だか辛そうにしているの…」



「…ヒョン」



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