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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

セレブリティ1(ホミン小説)

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メイクが終わって鏡を覗きこむと未だに僕は不思議な感覚に襲われる…ほんの時々だけど


そこに映っているのは僕であって僕じゃない

少なくともほんの何時間か前に寝ぼけまなこで自室の鏡に映っていたチョン.ユンホとは違う…もう一人の自分


幼い頃の傷跡さえ綺麗に隠された象牙色の肌

真っ白な歯が覗く唇は到底30近い男のものとは思えない



鏡に向かって今では自動的に浮かぶ笑み




「…何か気になるとこでもありましたか?」



アイラインで強調された瞳を伏せると怪訝な顔のメイクさんに尋ねられて慌てて首を振った



「何でもないよ…ありがとう」



立ち上がる足取りは確信に満ちている



周りにいるたくさんの人達に挨拶したり立ち止まって談笑しながら神経を集中させていく


衣装をつければ9割は出来上がり


なんて意識すらもうしない筈なのに、と奇妙な違和感がある



…今日は少しナーバスになっているみたいだ




理由はもうはっきり分かってるんだけど今はそれどころではない…出番まであと少し




それがステージでもスタジオでも一歩前の暗がりで手早く十字を切って祈る



ゆっくりと歩き出すと眩い光とともに耳をつんざく悲鳴のような歓声



白いライトに浮かび上がるたくさんの顔



何台ものカメラに見つめられる…まるで獲物を捉えた動物のようだ



笑顔でカメラを見つめるともう微塵の気後れもない


ダイアモンドのように輝くスポットライトよりも眩しい存在にならなくては 


誰よりも愛される偶像〈アイドル〉に



…だけど誤解しないで欲しい


浮かべる微笑みも発言も決して嘘じゃない



今ではもうどちらともつきかねるもう一人の自分





ユノ・ユンホの世界へようこそ、というわけだ








きらびやかなステージを離れても舞台は終わらない


僕の一挙手一投足…どんな小さな呟きにさえ常に注がれる視線や注目


初めは信じられなくてそのうち有頂天になり紆余曲折を経て今ではほとんど何も感じないほど…



僕は特別な人間じゃないのに、とひとりごちる



別に謙虚さや美辞麗句じゃなくステージを降りた僕は本当に普通の人間なのに



その証拠にこの数日間僕はもうずっと悩み続けている


何度も取り出してぐちゃぐちゃに折れ曲がった招待状


言いかけて馬鹿みたいにしりつぼみになる言葉



初めて好きな子に渡すラブレターみたいに…



〈みたいじゃないかな…〉



それは僕のパーティーの招待状


チャンミンへの招待状だった








日本での大規模なツアーが終わってつかの間

僕はしばらく抜け殻のようになってしまった

デビュー当時からの夢…無謀な夢と思っていたはずの夢を叶えて


感動した…



言葉に出来ない程の感慨があった


10年間ものあいだ走り続けて…時には走れずに歩いたり止まってしまったこともある曲がりくねった険しい道なき道を思って



10年前に誰が今の僕達を予想できただろう?


思い描いていた理想とは少し違っていたかもしれないけどそれでも今の自分に満足していないとは言えない


もちろん後悔や悲しみもある…悔やんでも悔やみ切れない現実も


でもそれらすべてを乗り越えて僕は幸せだった


大好きな事を仕事にできて


素晴らしい仲間…家族に囲まれて


明るい未来…周りの皆が最近とみに騒がしく話題にする兵役だって自分を見つめなおせるいい機会になると僕は思っている



後は…と考えてため息


本当は一番先に思いついてしまう顔


幸せを思う度に浮かんでしまう



心から愛しているただ一人の人




一日中ずっと一緒だったツアーが終わってあっさりと一人の生活に戻ってしまうことは難しい…


少し前まで朝一番に見るのも夜目を閉じる前の残像も全てチャンミンの顔だったのに



最近では単独のバラエティー番組が忙しいチャンミンの様子をマネージャーや他の人から聞く始末


とても楽しんでやっていると聞いて嬉しいばかりの筈なのに何だか寂しくなったり…なんて口が裂けても言える筈がない



…日本でも恋人としての逢瀬はほんの数回に留まった



連日のツアーで疲労困憊していたから部屋が一緒でもすぐに寝てしまったり


ワインを呑んで熟睡しているチャンミンをただ眺めていたこともある


それはそれで幸せな時間だった


だから勘違いしてしまったのかも


この幸せな時間が永久に続くって…



ドーム公演を終えて帰る時にも特別な約束はしなかった



またすぐに会えると思って



仕事でも一緒だしまだスタジアムもあるし、なんて甘い考えで



そんなのは本当に甘い考えだった

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