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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO7(東方神起ホミン小説)

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〈ラスベガスに行く前に近場で予行練習しよう〉


そんな風に簡単に決まった約束が果たされたのは去年の夏まだ早い時期だった



学生の時からの仲間何人かでばか騒ぎしながらの珍道中



迎えに来たリムジンにテンションもボルテージも上がりすぎ…みんな思い思いに楽しんでいる



仲間が勢揃いするのだって今はなかなか難しい


それぞれ家庭があったり地方にいたり住んでいる場所も仕事もばらばら



それが奇跡の様にすんなり日取りも何もかも上手く決まってこれはもう神様が楽しめって言っているんだなんて軽口混じりに意気揚々と乗り込んだ


韓国に何ヵ所かあるカジノは一つを除いて全て外国人専用に出来ている


ほとんどのカジノはホテルにあって僕達がここ何年か宣伝しているホテルにも立派なカジノがあった


滅多に無いことだし…と普段は滅多に使わないありとあらゆるつてを使ってのVIP待遇に興奮している仲間を見て僕も仲間入り…子供みたいにはしゃいで夢の扉を開けた



豪華さに圧倒されるようなエントランスを抜けてチェックインすると気の早い仲間の1人に早く行こうぜなんて急かされて


まずは小手調べと普通に遊んでいるとカジノの支配人が挨拶にやってきた



「よろしかったら特別室の方へ…ご友人もご一緒に如何ですか?」



思わず散らばった仲間の顔を見渡すと頷く顔や困惑顔…まちまちの反応を僕より素早く察して



「気が向いたらいつでもお声掛け下さい」



そう言って支配人が立ち去るなりなんとなく皆が集まってきた



「何だって?」


特別室に招待された、と言うと歓声を上げて一通りはしゃいでから急に1人が弱気な発言



「…服装とかいいのかな」


「別に何も言われなかったけど」


まあ僕達も一応いい歳なんだし…と見ると確かに服装はバラバラ


僕は初夏らしく麻のスーツを着て来たけど中はTシャツでノーネクタイ…もちろん正式なフォーマルでは通用しないだろう



何だか職業も年齢も分からない派手な格好の奴やそのまま仕事に行けそうなリクルートスーツ


そのうち皆の目がなんとなくアロハシャツを着ている1人に集中する


「…なんだよ」


問題はお前だな、なんて誰かの声に次々と上がる賛同に慌てた様子を笑いながら懐かしく見守った


あいつはいつも仲間の弄られ役だった


今は地元で家業を継いでいて…皆が驚いたけど結婚も一番早くて今では二人の良き父親だ



それを一番先にからかうのは仲間内で一番の問題児


誰彼なく喧嘩するのを僕はいつも仲裁していたけど後になって


〈ユノが入ると騒ぎが大きくなるんだって〉


なんて言われてしまった事も


今は職業も置かれた環境もばらばらな僕達


でも顔を会わせればすぐに気持ちは遥か昔の懐かしい記憶にかえってしまう


馬鹿なことをやって馬鹿みたいと言われた夢を馬鹿みたいに語りながらも


未來を信じていた…どんなに他人には馬鹿げていると思われてもなお掲げる夢があって


そう願って努力すれば必ず叶うと半ば傲慢なくらいの確信に満ちた気持ち


幼い日々を思うとつい浮かぶ赤面混じりの笑み


あの頃僕は本当に純粋だった…


ただ踊ることと歌うことが大好きでそれ以外の事は何も目に入らずに



そんな気持ちは一体どこに行ってしまったんだろう


あの頃僕達は信じていた



僕達は何にでもなれる



何でも出来るしそれぞれの願いや夢はすべて叶うだろう、なんて子供みたいに…


どれ程目指す道が困難で容赦なく高くそびえる壁に幾度となく阻まれて


汗や涙や傷だらけにならなければ手にはいらないとあの時知っていたら…?


でもあの頃の僕なら何も迷わずに飛び込んで行くんだろう…と呆れながらも昔の自分に何故か覚える羨望



物事はずっと単純でだから気持ちももっと簡単だった


だからこそ出来た約束


最初の10年が過ぎて落ち着いた頃皆でラスベガスに行こう!


(ラスベガス?なんでラスベガスなんだ?)


(だってエンターテイメントの本場じゃないか)


(…それを言うならブロードウェイじゃないのか?ラスベガスはカジノだろ)


(いいんだよ10年働いたご褒美なんだから)


なんて実際まだ働いてもいないのに先走る夢物語


(そうだよいいんだよユノはスターになるんだから)


(ラスベガスに行くんじゃなくて出てたりしてな)


どっとおこる笑いの渦の中で突然の宣言


(10年後デビューしていたら僕が皆を連れて行ってやるよ)


たちまちむせかえるような喧騒


本気かよ、と言って詰め寄る面々に


(約束するよ10年後僕がデビューして歌手になっていたら皆でラスベガスだ)


一通りの大歓声が収まるとからかい混じり


(デビューしてスターになったら全然あかの他人みたいになってたりしてな)


そういって背後から肩に回される腕に間髪入れずの突っ込み


(そりゃ相手がお前なら俺だってそうするさ…ユノ俺の事は忘れるなよ)


なに言ってんだ、と割り込む声


(こいつの事はなかったことにしていいよ…お前がスターになったら俺がお前の夢をいつも応援してたこと忘れるなよ)


調子のいい奴だ、なんて口々にかかる声


ひとしきりの応酬の後ふと
誰かの呟き


(…なんて言って10年経ってもまだ誰も稼いでなかったりしてな)


(やめろよ縁起でもない)


(ベガスどころかソウルに行くのだって怪しかったりして)


周りからやんやと野次られたりのばか騒ぎ…



盛り上がった空気が少し落ち着いたところで皆の顔を見渡した



(…どうなってるにせよ10年後約束な)


(そうだな…)


(何だよさめた奴だな。よし俺は乗った)


(俺もだ)


そうだよな行こうぜ、と気炎をあげた遠い昔…でも鮮明に甦る記憶



その記憶通りに誰かが行こうぜ、とかけた言葉のままに歓声をあげながら特別室へと行軍を始めた

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