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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO8(東方神起ホミン小説)

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今にして思えば何から何まで上手く行き過ぎ


でも高揚した心に歯止めをかけるような冷静な頭は持ち合わせていなかった


ちょっと騒ぎ過ぎ熱くなりすぎかなと思っても仲間の誰かや自分にちょっと信じられないくらいの幸運が舞い降りてくるとなれば…


その度歓声と共にハイタッチしながらのファンダンゴ(ばか騒ぎ)


どのくらい経ってか不思議と時間の感覚が無い中でもさすがに皆の顔に疲労の影を認めあい



あっという間の時間を名残惜しみつつ勝利に酔いしれながら部屋をあとにした





次の日はもう皆なんだか気が大きくなって


遅い朝食を食べながら語り合う大げさに膨らませた話


あいつはどれだけ勝っただの俺は一晩で金持ちになっただの


こんなに勝っちゃうと俺達がこのカジノを買えちゃうんじゃないかなんて与太話


…負けた人間は誰もいなかった


でもそのことを誰も不思議に思わないまま


今日も儲けさせて貰おうなんてまるで王公貴族みたいに威風堂々とカジノに向かった




豪華な装飾を施されたエントランスを抜けて入り込んだ別世界


巧妙に閉ざされた空間…窓から見えているような景色さえすべてフェイクの人工的な外とは全く隔離された世界



昼夜時間を忘れてゲームに没頭させるための仕掛け


客に高揚した気分を保させるために酸素の量を調整しているところさえある


もちろんアルコールもフリーだ…酒で判断力の鈍ったプレイヤーほどカジノにとってありがたい客はいないだろう




カクテル片手のブラックジャックにメチャクチャな勘だけが頼りのルーレット


素人くさいブラフで挑むポーカーにバカラ


…恐る恐る始めたはずの勝負がいつの間にか本気になって


何だか怪しくなる雲行きに気付きながらも引くに引けなくなる勝負


回を重ねるごとに増えるギャラリーの中に心配そうな仲間の顔…すらもう眼中に無く





夜が明ける頃僕は途方に暮れて佇んでいた




支払いを終えて仲間の元へ



微妙に反らされる視線にわざと大きな声をあげて何気なさを装ったポーカーフェイス



肩を叩かれたりぎこちない慰めの応酬の中聞こえてしまう投げ捨てられた小さな台詞



〈あいつのスッた金は俺の年収より多いぜ…〉



心臓を貫く言葉



早まる鼓動を痛いほど意識しながらも聞こえないふりをするのが精一杯


〈馬鹿やめろよ〉


誰かの制止を振り切って聞こえてくる喧騒


〈なんでだよ…別にいいだろ?本当の事言って何が悪い?悪くないだろ?〉


〈やめろって…この酔っぱらい〉


背後のやりとりにチリチリとささくれ出す神経


〈酔っぱらって何が悪いってんだ…少なくとも俺はあんなふうに金をどぶに捨てるような真似はしないぜ…ま、したくても無理だけどな!〉


〈やめろって…ユンホに悪いだろ〉


〈なんでだよ…なあユンホ別に構わないだろ?〉


そう言って名前を連呼するのを慌てて止めている気配に振り向こうとすると別の腕が背後から回されて


〈いいからあんな酔っぱらいはほっとけ…な?〉


という言葉と共に強引に歩き出そうと肩に回された腕にこもる力


背後から止まない名前を呼ぶ声にやがて滲んでくる侮蔑の色


〈なんで無視するんだ?聞こえてんだろ…?おいユンホ?〉


まあまあ、となだめる声にかぶせて鋭く突き刺さる言葉


〈何だってんだ無視なんてしやがって…芸能人がそんなに偉いってのか?〉


その言葉に思わず振り返ろうとすると逆の方からさらに肩を抱かれ二人ががり…凄い力で強引に連れていかれそうになる


〈馬鹿いい加減にしろ!〉


そう後ろに向かって怒鳴り気にすんな、と口々に慰められて僕の抵抗は不発に終わった


固く握られた拳はそのままにして…




部屋に入り1人になってやっと少しだけ冷静になる頭



確かに僕は…


それがゲームでも何でも勝負になると熱くなりすぎるいつもの僕の癖


今更ながらの追憶の数々


最初にちょっと流れが悪いと感じた時にどうして止めれなかったのか


意味ありげな目配せや遂には言葉に出しての制止さえ受け付けずに


〈大丈夫大丈夫…今に見てろって〉


そんな風に誰かの止める手を振り払った微かな記憶


固唾を飲んで見守る視線が段々と反らされて冷たくなるのを痛いほど感じながらそれでもなお抗えない誘惑


思い出す記憶に身震いしながら鎮まりかえった部屋が
やけに広く寒々しく感じられて悪態をついて


勢いづいたまま立ち上がり頭を振ったその途端に沸き上がる後悔



景気付けのシャンパンに始まっていったいどのくらい飲んだのかわからなくなるくらい…


最後には自棄になって重ねたグラスに映る自分の姿にやっと気付かされた現実


とっくに勝負のついたゲームの終焉を僕だけが認めずにしがみついていた





まだ少しふらつく足取りのまま乱暴に服を脱ぎ捨てて


勢いよく迸るシャワーに打たれながらつい浮かぶ考えを振り払おうと…



正直いくら負けたとかそんな事はどうでも良かった


もちろんしまったな、と思ったし悔しいけどそれでも


一番堪えたのはあの時あの瞬間僕を出迎えた皆の顔


異星人を見るみたいに僕を凝視している姿にこだまする声



〈あいつのスッた金は俺の年収以上だって…〉


はじめは決して強くない口調…冗談めいた嘆きに隠れた何か


デビューしてからも色々あってからも仲間からは全く感じた事のない何か…



硬く目を閉じて頭から閉め出す思考



湯気で曇った鏡に映る自分の視線からそっと目線を反らせてうつむいた

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