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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

セレブリティ9(ホミン小説)

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通されたリビングは白を基調としたシンプルながらも明るく綺麗なコーディネートで


ほとんど白に近いクリーム色の毛足の長いラグと真っ白なテーブルが目をひいた


きれい好きのチャンミンならではの選択だなと思いながらもこれまた存在感のあるキャメルの柔らかそうなレザーのソファーセットの前で躊躇していると



「何してるんです?」


「いや…どこ座ろうかと」


「どこでもいいですよ。好きなとこにどうぞ」



部屋の間取りも雰囲気も2人で暮らしていた前の部屋とは違うのにリビングのテレビとソファーの配置だけは同じで


大型テレビの前に3人は座れそうな長いソファーがあって横には一人掛けのソファーが置いてあった



テレビの正面の長いソファーの真ん中にどっかりと座り込む



…多分チャンミンだって普段はここに座るんだろうけどでも


遠慮して横のソファーに座るのも何だか逆に悪いしそれに何といっても


2人で暮らしていた頃はずっとそこが僕の指定席だった…


よくソファーで横になってしまう僕のせいでチャンミンは横のソファーに座ったりたまに並んで座ったり居場所が定まらずに



座り心地の良いソファーにゆったりと身体を預けているとしばらくしてコーヒーの香りに包まれる


豊かな香りを楽しもうと一瞬目を閉じた…








ガクッと落ちるような感覚を覚えて目を覚ます…意識が戻った途端に慌てて跳ね起きた



まさか寝ちゃうなんて


内心どぎまぎしていると、ヒョン?と呼びかけられる声の響きの懐かしさ



「ごめん!寝ちゃってた…」



謝りながら横のソファーに座っているチャンミンを見やる



「疲れてたんですよ。パーティーの準備もあったし」


ゆっくりできたなら良かった、なんて優しい言葉に慌てて浮かせた身体をまたソファーに預けて感じる幸せ



2人で暮らしていた頃こんな事が何度もあった



仕事から帰ってどんなに遅くても自室に行かずにリビングのソファーに横になって


どうせすぐ寝落ちするんだから真っ直ぐベッドに行けばいいのに、とチャンミンには不評だったけど僕はその時間が好きだった


睡眠のための眠りじゃない…夢とも現実ともとれないようなまどろみの中で聞こえるかすかな物音やチャンミンの気配を感じながら眠りにつくのが…


懐かしさについ耽溺してしまいそうになりいけない、と時間を見ると寝ていたのは30分程らしい



「…これもありがとう」



寝ているうちにかけられたブランケット




肌触りのいい真新しいブランケットを返しながらもうそろそろ…と立ち上がろうとする僕の動きを遮るようにチャンミンが立ち上がって



「何か飲みますよね?」



と言い捨ててさっさとキッチンに向かってしまい



「もう時間も…」



と言いかけた僕の暇乞いは宙に浮いてしまう


帰ろうとする言葉を止められた事で生まれる新たな期待にざわつき高鳴る胸の鼓動



…本当はここに向かう車の中でだってさんざん考えたけどその度に頭から締め出して



ただの社交的な訪問なんだからと自分に言い聞かせていたのに



急に何だか落ち着かなくて立ち上がりさっきまでチャンミンが何やら作業していたパソコンを覗き込む



画面にはもうさっきのパーティーの写真



興味を覚えて何の気なしにマウスを動かして現れた写真に声を失う



そこにあるのは何枚もの僕の写真



僕が全く知らない僕の写真だった




何ヶ月か前からどこにでもカメラを持ち歩いていたチャンミンが熱心にコンサート会場やスタッフさんをカメラに収めていて



カメラを構えている姿をよく見かけて少しだけ寂しく思ったりしていた…どうして僕にそのレンズが向けられる事が少ないのだろうなんて思っていたのに



さっきのパーティーで言われた言葉が頭に響く


〈少しは向いてやれよ〉


振り返るとカメラを構えてじれた様子のチャンミンが僕を呼んでいた



〈いつも見てくれないって言ってたぞ〉





おそるおそるマウスを動かすと現れる僕の写真…もう大分前からの様々な姿


リハの様子…休憩中にふざけていたり真剣な顔でモニターを見ていたり移動中の写真まで


一体いつ撮っていたんだろう?



服装も表情もまちまち…でも確かにカメラの正面をきっている写真は少ない


横顔だったり斜めからだったり



その中の一枚…後ろを向いて座っている写真


笑っているのか険しい顔をしているのかどういう表情をしているのかわからない一枚の写真に強く惹かれた


服装からしてライブの終わり



後ろ向きで座っている僕はタオルを首から下げて俯いている



祈っているのか肩を落として疲れきっているのかそれとも満足に微笑んでいるのか皆目わからない写真



それでも何かやり遂げた後…例えば試合後のボクサーの様なその姿に自分ながら心をうたれた



仕事を終えた一人の男



そこにいるのは普段カメラに写されている僕じゃない…



僕が自分にすらわからないユノ・ユンホからチョン・ユンホに戻る瞬間…まだ完全にどちらともいえない瞬間をこの写真は捉えていた



画面に見入っていると後ろから静かな気配とハッと息を飲む音



振り返るとチャンミンが飲み物をテーブルに置くのも忘れたように立ち尽くしている



能面のようなポーカーフェイスを裏切って上気したように耳だけ赤くしてこちらを凝視していて


そのくせ目があうと僅かに視線をそらせた



「この写真て…」


言いかけると何だかかぶせるように


「すみません」


なんて謝られて心底驚いてしまう



「なんで謝るの…?」


聞いても何だか憮然として答えない



「チヤンミナ」



しつこく食い下がるとやっと重い口を開いて


「だって気持ち悪いじゃないですか」



呟いてそれから吐き捨てるような口調



「ストーカーじゃあるまいし」



僕が黙っていると自分の言葉に傷ついたみたいな顔をしているので慌てて



「そんなこと言うなよ!僕は嫌だなんて一言も言ってないだろ?」



無言のままチャンミンが乱暴にトレイを置いたその音がやけに大きく響く



「むしろ嬉しいよ」



「またそんな」



「本当だって!いつも…本当はいつも僕は嫉妬してたもの」


言い淀みそうになって意を決した



「お前が誰か他の人を撮ってるの見て…」



僕の言葉に顔を上げるチャンミンは奇妙な表情を浮かべていて


僕は何だか急に弁解じみた口調



「いや…もちろんお前が好きなの撮ればいいんだけどさ」



のぞき込むようにするとそらされる視線


おどけた口調、その場を取り繕おうとした軽い調子は沈黙に埋もれてしまう



消えてしまった画面をまたつけてチャンミンの方へ向けると唇を咬んで見返してきた



「盗撮じゃないですからね」



「…馬鹿言うなよ」



「言っときますけどこの時だって僕はヒョンを呼んだんですから」



珍しく語尾を濁した言い訳じみた口調に思わず微笑むとなおのこと顔をしかめる



「僕は好きだよ」



唐突に告げると怒ったままの表情



「この写真…僕は好きだよ。これを写した人は僕を知ってる」



僕の言葉に口の端を歪めて皮肉な口調



「…そりゃそうでしょうよ」



「僕が自分で知らない僕自身のことも知ってる…そんな風に感じる写真だよ」



画面に映る自分の後ろ姿に目をやった



「僕の後ろ姿はいつもこんな?」



「…知りませんよ」



なんて冷たい言葉さえ逆効果なのに



「誰かさんが一番知ってるはずだけどな」



見つめると挑戦的に見返してきた



「その誰かさんは全然興味無いかもですよヒョンの背中になんて」


僕は笑った



「こんな写真は撮れないよ」



「……」



「興味が無かったら…」






絡み合う視線が一瞬にして意味を持った


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