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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TENSE2(東方神起ホミン小説)

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「僕がヒョンの家に泊まりますよ」



そう告げると何だか一瞬の沈黙のあとヒョンは嬉しそうに笑っているし…


マネージャーは苦虫を噛み潰したような渋面をしてこちらを見た



振り返った2つの顔に向かって



「ヒョン…本当に入院しなくていいんですか?」



と無言で盛んに頷いているヒョンと僕を見比べてマネージャーはため息をついた



「全く…とにかくこれ以上何事もないように頼みますよ」



「大丈夫だって…チャンミンがいてくれるし」



ヒョンの言葉にちょっと狼狽して赤くなったのを打ち消すように



「どうせ何を言ったって聞かないんですから」 



しぶしぶと不服そうなマネージャーに



「何かあったら入院させますから」



そう言うと声を上げてヒョンが笑い出した…











その日のうちにヒョンが怪我をしてしばらく休養すると正式な発表があってマネージャーは僕達を送ると慌ただしく事務所に戻って行った



松葉杖を振って挨拶するヒョンをたしなめて


「大人しくしてて下さい」



ソファーに座って右足を投げ出したヒョンは何しようかな~なんて子供みたいに



でも僕には分かっている



本当は悔しいし落ち込んで口も聞きたくない気分を変えるためにヒョンが無理してでも明るく振る舞っているって



すぐにゲームを始めたヒョンの横で僕はモバイルのチェックをする



対戦すると熱くなりすぎるヒョンのせいで普段あんまり一緒にしないゲームも今日くらいはいいだろう



ヒョンには本当に早く治って欲しいし何より怪我なんてして欲しく無かったけどもう仕方ない…これからしばらく何をして過ごそう



なんて考えて1日が過ぎていった









次の日の朝早く電話の音で破られる久々の眠り



スケジュールが無くて目覚ましをかけない眠りは貴重なのに…と電話を取ろうとしてはたと気付く



鳴っているのはヒョンの携帯だった



もぞもぞと文句を呟きながらまた寝ようとするヒョンの耳元に携帯を当てると急に飛び起きて挨拶を始めた



どうやらご両親かららしいと思って部屋を出ようとするのを目線で止められ



ここに座れというように自分の横をポンポン、と叩く



躊躇いながらヒョンの隣…ベッドに起き上がったヒョンの隣に腰掛けると当然という顔で大きく頷いたのを見て照れくさくいつものポーカーフェイス



そんな僕を眺めてなんだかヒョンは嬉しそうに電話を続けている



「大丈夫だって…ああ…チャンミンに来て貰ってる…」



小耳に挟む言葉に跳ね上がる心臓



聞かないようにしても心はうらはら…たまに混じるヒョンの光州訛りについ頬が弛む




「無理しないでいいから…え?」



こっちを向いて意味ありげに目を回す



「…わかりました」



ややあって電話をきったヒョンが何だか呆けたみたいに呟いた



「…こっち来るって」



え?と思わず顔を見る



「ご両親がですか?」



ヒョンが頷くと思わず立ち上がってしまうのを苦笑いで



「…そんなに焦らなくていいよ」



「ヒョンはそうでも僕は違うんです…どっちにします?」  



唐突な質問に戸惑い顔のヒョンに



「あなたは安静にしている約束なんですよ…ベッドとソファーのどっちにしますか?」



あ~どっちかななんて甘えた口調を無視して


「早く決めて下さい」



「ベッドだと大げさだし…」



ソファーですね、と松葉杖を渡すと受け取らずにでもな~なんて上目使い



「ソファーだと今度はなんか怒られそうだしな…安静感が無いよね」



なんて向けてくる笑顔に微笑みそうになるのをこらえて



「安静感なんて言葉はありません…何でもいいから早くどっちか決めて下さい」



まだ考えあぐねているヒョンをおいて行こうとすると引き留めるように声を上げた



「やっぱりソファーにする」



なんて宣言したわりに動こうとしないヒョンにじれて近寄ると耳元に口を寄せた




「…寝室はお前以外立ち入り禁止」




朝っぱらから歯の浮くような古臭いセリフに思わず絶句すると下手くそなウインクなんて


「──頭までどうかしちゃったんじゃないですか」



言い捨てて顔を背けると弾かれたように笑い出したヒョンを置いて寝室を出た











抱えきれないほどの荷物を持ってヒョンのご両親が姿を見せたのはその日の午後になってからだった



一通り涙の対面…とまではいかないけど親子の心暖まるやりとりのあと



お久しぶりです、と挨拶すると



「うちの息子がご迷惑かけて…」



なんて言われて慌てて否定する



「とんでもない…僕の方こそいつもユノヒョンにはお世話になってます」



頭を下げるとまあまあ、なんて…



そんな僕達をヒョンはニコニコと微笑んで眺めている



「ご両親にお変わりはない?」



「はい。こんな時になんですが明日にでもご挨拶に…」



元々メンバーの親という同じ境遇にいる者同士面識はあったけれど余り接点は無かった親同士も僕達が2人になってからはライブで並んで観戦したり家族ぐるみで食事会をしたり


そんな交流をヒョンは楽しんでいるようだった



僕はと言えば…



ヒョンのご両親はとても良い人達だし大好きだけれど…だからこそ



いつもこうして挨拶したり一緒に食事したりする合間…ふとした瞬間に僕は何だか申し訳ない気持ちになってしまったり



何だか皆を欺いているような気分にかられたりしてしまう



自分達がとんでもない過ちをしでかしているように感じて気詰まり極まりなく



そのたびヒョンを盗み見る



そんな時決まってヒョンは優しく僕に微笑んでくれるけど僕は微笑みを返せずに後ろ暗く虚ろな表情を浮かべてやり過ごす



そうして強く願う



この恋が間違っていないという確信をどうか僕から奪わないでくれ、と…












固辞したけれど結局夕食をご馳走になって帰る道すがら思いかえす



遅いから泊まっていけよ、なんてヒョンの言葉に信じられないという顔をしてみせてさっさと車を呼んでしまった



ご両親にはきちんと夕食のお礼と暇乞いをして礼儀正しいマンネの印象を壊さないように振る舞って



…少しでも良く思われたい



嫌われたくないしせめて可愛いい弟だと思って貰えればなんて馬鹿げた努力を冷たく笑う



「…僕が送る」




帰る段になってヒョンが松葉杖をついて立ち上がろうとするのを皆で止めようとしたけどこれもリハビリだよなんて押し切られてしまって



…手術したわけじゃないから今のヒョンに必要なのはリハビリでなく安静なんだけど





マンションの部屋を出るなりヒョンの小さなささやき声



「ごめんな」



なんてヒョンが謝る事じゃない



そう言いたかったのに何故か声にならずに俯いた卑怯な態度




「チャンミナ」



「何で謝るんです」



逃げるようにエレベーターの前



松葉杖を投げ出して走って来そうなヒョンを見て足が止まる



「何やってるんですか!」



と僕の声にまたごめんなんて…




「謝らないで下さい。怪我したことも…何もかも全部」



でも…と困った顔に溜飲が下がる



「せっかくお前が来てくれてたのに追い返すみたいで…」



「…みたいですか?」



「チャンミン」



真面目な口調…心配そうな眼差しに瞬間言いようのない怒りがこみ上げた



「内心ほっとしてるんじゃないですか」



言い放った言葉に含まれる棘がヒョンを…他でもない僕の大切なヒョンを傷つけると僕は知っているのに



「チャンミン…」



「馬鹿みたいに何度も名前ばっかり呼ばないで下さい…!」



ヒョンの顔色が変わった



「…俺は泊まって行けって言ったろ?」



急変するヒョンの口調…危険な信号



「あんな状況で泊まってどうしようって言うんですか…まさか僕達一緒に寝てますとでも?」



目を丸くして驚いたヒョンの顔



怒るのも忘れた瞳に悲しみの色が宿るのを茫然と眺める



こんな事言うなんて自分が信じられない



最悪な酷い気分



口から飛び出してしまった言葉を取り消すためなら僕は何だって…なんだってするのに



すみませんと僕が言うより早くヒョンが僕の名前を呼んだ



「チャンミナ」



「すみません…」



今のは違うんですとしどろもどろの説明をヒョンは黙って聞いてくれている



どんな謝罪の言葉もどんなに言葉を尽くしても説明になんてならない



ただの言い訳…それでもヒョンは最後まで黙って聞いてくれていた



実際のところ僕は自分でも自分が何に苛ついているのがわからない



帰るのなんて当たり前だ…ご両親が来ているのに何で僕がヒョンの家に泊まる理由があると?



仲良くご飯を食べて…それなのに何だってこんなに



そうして気付いてしまうある感情



ヒョンがやましさや後ろめたさを感じさせないことに僕は苛ついてしまう



僕と同じようになんで感じないのか、と



どうして僕だけが



それは僕の罪悪感…



いくら言い聞かせても完全には消えない罪悪感からくる感情だった

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