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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TENSE11(東方神起ホミン小説)

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ヒョンの優しさ…その優しさがただ単に優しいだけじゃなく


その優しさがヒョンの厳しさや辛い経験に裏打ちされたものだからこそ僕の心に滲みるんだと


こんなにも痛いほど…


ヒョンの嘘を思う


僕のためにこれまでヒョンがついてくれていたであろうたくさんの優しい嘘


〈大丈夫大丈夫…〉


一人の仕事の時でもどこからか頭に響く声


〈大丈夫だよ…〉


そう言って伸ばされる指先

肩に置かれる掌

親指を立てて向ける笑顔





〈僕はお前ほど言葉が上手くないもの〉


いつの頃か言い間違いを指摘すると拗ねたようなヒョンの言葉


そんな意見がもう見当違い


言葉なんてどんなに綺麗に飾って難しく言い繕ったって伝わらなきゃ意味が無い


相手に伝わらなければ


ヒョンの言葉はそれが言葉になっていなくても声に出ていなくてもちゃんと僕に伝わっているもの


その眼差しや態度やヒョンがただ居てくれるだけでも


僕にはちゃんと…




「チヤンミナ見て…凄い綺麗だよ」



ビルの向こうに広がる夕日に目を輝かせて大げさにはしゃいで見せる



現場でもいつもそう…率先して明るく振る舞おうとする姿


辛ければ辛いほど微笑もうとする癖…




不意に背中に当たる感触に声を上げる



「…何ですか一体」



いいから後ろ向いて、と言って指で背中に何やら書いているらしい



今どき誰がこんなこと…と思いながらもヒョンの触れた場所に神経がいくのがわかるけど



「全然わかりませんよ」



えー、と抗議の声をあげて



「なんでわからないかな」


「知りませんよそんなこと…なんて書いたんです?」


聞いても当てないと駄目なんて言って悪戯そうな顔



「じゃあチャンミンの番」


なんて言って背中を向けて振り返った笑顔



「…嫌ですよ馬鹿らしい」



と言うとちょっとわざとらしく唇を尖らせて



「なんでいいじゃん」


「嫌ですって」


「簡単なのでいいから…」


「結構です。大体なにが楽しくて馬鹿みたいにいい年した男同士で…」



お前はもう…とちょっと本気混じりにため息をついて向きなおろうとしたヒョンの肩をつかんで



「じっとしてて下さい」


と言うと子供みたいな返事



向けられた背中の近さはいつもの距離


手を少し伸ばせばいつでも触れられる筈なのにそのくせ恐ろしく遠く感じることもある二人の間


重なり合う時には全て消え去ってしまう不安や疑問が離れるたびに増していた今まで…




「もういいよ。早く書いて?」



背中に触れそうになると震える指先



「チャンミン?」



焦れたように落ち着きの無いヒョンの背中に乱暴に描くいびつなかたち



緊張してひどく歪んだ楕円みたいになってしまった軌跡にヒョンは首をかしげて考え中



「わからないな…一文字だけ?」


「…文字じゃないです」



というと声を上げる



「なんだ先に言えよ」


もう一度書いて、の言葉に首を横に振って駄目ですよとつれない返事



「だって文字だと思ってたから…反則だよ反則」



「言い訳は見苦しいですよヒョン。大体文字より簡単ですから」



と言うと向きなおり指で楕円を空中に書きながら太陽かな…なんて言ってくる



「違います…はい終了」


「顔…じゃないし」



「もう終わりですって」


「三日月とか?」


「違いますよ。もうハズレですから」



しばらくぶつぶつ言いながら指で描いていた動きが急に止まって



ちら、と走らせてくる視線


思わせ振りな口の端に浮かんだ笑みが耐えきれないように馬鹿笑いに変わる



「俺わかっちゃった」


興奮すると広州弁が出て少し乱暴になるヒョンの言葉


向けられたにやけた笑いの意味に僕はちょっと照れくさく


「そうですか。良かったですね」


「体の一部だよな」


「もう終わりましたから」


冷たい返事にもめげずに


「一番大切なところだろ?」


「そんなの人によります」


「ほかにマークなんて無いじゃん…無いよね?」



なんて僕に聞いてきたらもうクイズでも何でも無いんだけど


相変わらずにやつきながら無遠慮な視線に顔が赤くなるのがわかる


ヒョンの言う〈一番大切なところ〉ではねあがる鼓動



しばらくからかい混じりの軽口の応酬が止むとゆっくりと少しだけ真面目な口調



「チャンミン…いい機会だから覚えておいて」


頷いて見つめると微笑んだ


そんなに見られると緊張しちゃうな、なんて前置きして不意に



「僕は傷つかないよ」


何の脈絡もない急な宣言に戸惑い始める心



「僕はもう傷つかない。少なくとも滅多な事ではね…そう決めたんだ」


「ヒョン」



「他の誰にどうこう言われてもそれがどんなに的外れの批判でもただ僕のことが嫌いで悪口を言われたって構わない。僕の…僕の大切な人以外からなら何を言われたって」


「ヒョン…」


「こんな考えは間違っているかもしれないけどでも僕はもう…傷つかないから」


だから心配しないで、と浮かべる笑みのやるせなさ



傷つかない…?



ヒョンの言葉に声を失う


傷つかないとうそぶき宣言するたびに厚くなるヒョンの鎧


それが本当は傷ついているからだと気付いていないヒョンの無自覚さ


痺れてしまったような頭に響くヒョンの声



「お前だけだよ」



見つめられて動けない体



「僕を本当に…本当の意味で傷つける事ができるのは…」



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