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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

セレブリティ5(ホミン小説)

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夢と分かっていながら見る夢


意識が2つあるような不思議な感覚の中で浮かぶのはまたもやチャンミンの顔


緊張して少しこわばった表情…何かを告げようとしている


駄目だ…!と強く頭に響く声


僕はこの瞬間を知っている


何度も繰り返す悪夢のような瞬間


ここしばらく何だか様子のおかしかったチャンミンから話がある、と告げられて


改まった口調に嫌な予感



心が波打つのを悟られませんように…



祈りも虚しくチャンミンの言葉が僕の胸に突き刺さる



〈離れて暮らしてみたい…〉



一瞬時が止まった気がした


それは晴天の霹靂ではなかった


いつかそんな時が来るかもしれない…そんな思いがよぎる度に頭を振って否定してきた


まるで慣れ親しんだ悪夢のようだった



夢の中で繰り返される場面


僕を見つめるチャンミンの視線を痛いほど感じながら何気ないふうを装った僕自身の姿



〈今が嫌とかそういうことじゃなくて…〉


慎重に言葉を選んでゆっくりと静かなチャンミンの独白



〈ただ一人で暮らしてみたいんです…もうそろそろそういう時期だと思って…〉



…聞いていられなかった


目を伏せて背けた背中


平静を保つのに恐ろしいほどの努力がいった



〈ああ…〉


低く答えると釈然としない顔



〈ああって…それだけですか?〉


震えたような声に混じる苦さ


〈ああ…わかった〉


不満と失望の漂う濃厚な空気になじるようなチャンミンの声



〈わかったって…ヒョン〉



素っ気ない単調な返事がチャンミンを傷つけるのはわかっていた


目を伏せて背けようとする視界にうつる唇を噛み締めて悲しそうな顔…からかすかに憤った怒りの表情に


それに僕は安堵した


怒りを燃やしてくれた方が悲しませるよりいくらかはマシに思えたので…





出来るだけ早く引っ越しますから、なんて言い捨ててチャンミンが部屋に籠もってしまったあと


一人残されて全く見ることも聞くことも出来ないテレビをただぼんやりと眺めていた



どれくらい経ってからか自室に向かう途中チャンミンの部屋の前でしばしの躊躇


今ここでこのドアをあけて


行くな、と


好きだから…側にいてほしいから行かないでくれとすがりつけばきっと


チャンミンは出て行かないだろう…


僕が本気で頼めば



困惑して…落胆しながらも僕のそばにいてくれるに違いない


そうしていつか真綿のような僕の感情がチャンミンを窒息させてしまう


今ここで手放せないなら…




……駄目だ




頭の中で響く声と共に夢から目覚めた









まだ誰も起き出していないみたいな時間に起き出して


朦朧としながらも手早く身支度


ただ移動するだけでも気の抜けない現実


最近では空港に行く時にさえスタイリストさんにコーディネートしてもらうなんて事もあるらしい


ファンからのプレゼントを着てみたり細かい部分にも注意して…


一歩外に出ればそこはもうステージと同じ


沢山の目…暴虐武人な冷たいカメラの目


小鳥のさえずりのような囁きは常につきまとって絶えることはない


それらに痛痒を感じる事はない…


少なくとも人前では


僕が自分で選んだ道…選んだ生き方だから






まだ暗い明け方の冷たい空気に身を縮める


不快さを感じるまでもない車に乗り込むまでのほんの一瞬


寝不足で熟れたような熱をもった頭にいっそ心地いいくらいの肌寒さ


車中から眺める景色でさえすっかり秋めいて風に遊ぶ枯れ葉の円舞曲に郷愁をそそられてしまう


故郷の光州では山々がすっかり色づいて


そういえば栗を売るバイトなんかもしたな…


とりとめのない思い出を反芻しながら仕事場に到着した



少し早めに着いて雑談していると常になく賑やかにチャンミンがやってきた


重そうなカメラを大事そうに抱えている


誰かに聞かれるまま撮影してきたんで…なんて答えているのに何故だか微かな苛立ち


僕がパーティーを開く同じ雑誌の企画でチャンミンはカメラマンになりたいと志望していた


有名なフォトグラファーであるキム・ヨンジュン氏に師事して本格的に


前の日本でのツアーの合間にもスタッフを撮ったり舞台裏を撮ったり…楽しそうな様子を喜んであげなきゃいけないのに


ツアーや移動の最中…チャンミンのカメラが僕に向けられるのは稀だった


スタッフやダンサーさんを撮っていても何だか僕がうっかり写り込んだり目が会うとそっとカメラを下ろしてしまう


ファインダーを覗き込む姿…そのたび僕は馬鹿げた嫉妬をレンズの向こうの誰かに抱いたりして


誰を撮るのかなんて話が出た時もそうだ


まさか僕のはず無いなんて解っていても以前からファンだという野球の選手をモデルに選んだと聞いて何だか面白くないなんて思ったり


我ながら…と卑下しそうになった瞬間まるで光明の様にひらめいた思い付きに飛び上がりそうになる




「…そうだ!」



思わずたてた声に振り返る怪訝な顔



僕は思わずほくそ笑んだ……

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