東方神起ホミン小説 東方lovers

東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

セレブリティ6(ホミン小説)

にほんブログ村 小説ブログ 韓流三次元(ナマモノ)小説へ
にほんブログ村



仕事場で2人きりになるのは意外と難しい


じりじりしながらその時を待って叶えられたのは全部の仕事を終えて帰る間際


マネージャーやスタッフがバタバタと出て行ったほんの一瞬だった



「チャンミナ!」



はやる気持ちのままにバッグをひっつかんで目の前の椅子に乱暴に腰掛けると僕の勢いに帰り支度の手を止めて目を丸くする



「…なんですか一体」



面と向かって丸い大きな目を向けられて思わずたじろいでしまう…濡れたような黒い瞳


ファンが云うところのバンビアイそのままに


「…これ」



言葉では言いづらい…バッグに手を突っ込んで差し出したのはあの招待状


散々持ち歩いてクシャクシャになった招待状だった



怪訝そうに眉をひそませた顔…チャンミンの全身から漂う困惑を蹴散らしてたたみかける言葉



「断られたのは解ってる…チャンミンが来ずらいって思うのも。だからもう招待はしないよ」


「…はい」


じゃあなんで?と無言のうちに向けられる視線


「だから正式にオファーしたい。チャンミンにこの会の専属カメラマンになって欲しいんだ」



思い切って告げたセリフに返ってくる沈黙


驚いた顔から俯いて呟いた



「…そんな馬鹿なこと」



予期していた通りの言葉につい笑いそうになる



そんなこと出来ません


第一僕はプロのカメラマンじゃない


僕よりもっとふさわしい人が…


予期していたセリフを言わせないためにも僕の言葉につい熱がこもる



「そんな難しく考えないで…パーティーなんだから簡単なスナップでいいんだよ」


「簡単ってそんな」


口ごもるのに慌てて告げる



「もちろんチャンミンの腕ならスナップ以上のものが撮れるんだろうけど」


見え透いたお世辞にチャンミンは片頬を上げて皮肉に笑った


「ヒョン…」


「頼むよ…考えてみて?」


ね?と大げさな懇願に呆れる風を装いながらもチャンミンの肩からふっと力が抜けたのがわかる


顔を上げて僕を見た


「大事なパーティーなんでしょう?」


「そう…そうなるよ」


そう聞いた途端首を横に振り初めた


「だったらちゃんとしたカメラマンの方が…」


「チャンミナ」



またも落ちる不穏な空気


こんなのは想定外だった


カメラマンのオファーをして…ちょっと迷っても受けてくれて


そうなると思ってたのに



断られるかも、という恐怖が一瞬僕の頭をよぎる

順調に話を進めていた筈なのに



気まずそうに切り出すチャンミンの声



「ヒョン…やっぱりそんな大切なパーティーなら僕の腕じゃ」


か細いささやきを強く遮った


「なんで駄目なんだ!」


しまった、と思った時にはすでに遅い


僕の語気に一瞬…ほんの一瞬だけどチャンミンが萎縮するのがわかる


何か言わなきゃ…と思う


何か空気を変えるような一言


でも頭の中は混乱してグチャグチャだ…いつの間にか固く握ってさらにボロボロになった招待状みたいに



なんだってこんな事になったんだ?

僕は馬鹿丸出しだし

チャンミンだって頑固過ぎる

パーティーに行くくらいなんだって…


その瞬間蘇る記憶


あれはまだ5人で活動していた時


いそいそと出掛ける僕に誰かが声をかけた


〈楽しそうな会なら僕達も連れていってよ〉

思わずの絶句


言い訳を探していると冗談だよ、とからかわれる


〈それにしたって一回くらいいかもな〉


そうだよな、とあがる賛同の声


僕は苦笑するしかない


急に取れたオフだった…その場でおきたメンバー皆の誘いを断ってキャンセルしていた会に出掛けようとしていた



〈メンバーより友達が大事なのかよ〉


笑いの中にも突き刺さる小さな棘


〈そんなんじゃないよ…〉


本当にそんなんじゃない


でも…否定できるだろうか?


僕にはそういう時間が必要だった


メンバー皆を愛している…それでも彼らやスタッフや会社の人以外と話したりいっそ一人になる事で得られる時間


ユノ・ユンホじゃなくてただのチョン・ユンホに戻る時間が


今ではもう自然に渾然となった感覚


でもあの頃はまだ2つの生活を頑なに分けようとしていた…



〈…時間大丈夫?〉


〈引き止めて悪かった〉


…記憶の中で遠くから聞こえる声


〈早く行けよ…楽しんで来て…〉


〈それにしてもわかりやすいよ〉


去り際に聞こえた誰かの声



〈ユノが誰かを連れて行くとしたらよっぽどの人って事だな〉



一瞬にして繰り広げられる記憶


リビングのソファーに皆座っていた…ゲームをしながらの軽口混じりの見送り


着ていた洋服の色や片手にもったカップまで鮮明に蘇る


こっちを向いている懐かしい顔


本に隠れていたチャンミンが束の間顔を上げて僕を見つめた……










「ヒョン…?」


ためらいがちの声で我にかえる



〈ユノが誰かを連れて行くとしたら…〉


頭の中で繰り返される言葉


〈…よっぽどの人って事だな〉



チャンミンは覚えているんだろうか?


僕はチャンミンを見つめた


途端に何だか全てが馬鹿らしく意味を失ってしまった


パーティーに来るだのなんだの…そんな事はどうでもいい


そんな事よりもっと重要なのは僕の気持ち


いつの間にかどこに行って何をするにもチャンミンが必要不可欠になってしまったのに


そのことに気付こうとしなかった


物分かりのいいふり…


離れて暮らしたい、距離を置きたい…


チャンミンのそんな言葉にも異議を唱えなかった


行くな、とも待っていろとも


それがチャンミンの為だと言い聞かせて


その実自分からのリアクションを恐れていた

内面を吐露することも



引き止めもせず、嫉妬すらしないふり


話があると言われた時も最初にパーティーを断られた時もただ冷たく背を向けてその場をやり過ごして


その後に続いていたはずのチャンミンの話を聞く耳を持たなかった


束の間の逢瀬


日本でのツアー中また寄り添った心も


離れてはいない…でも毎日に忙殺されるまま




僕が間違っていた


最初に云うべきだった


断られてもすぐに云うべきだったし、カメラマンだなんだってつまらない小細工をするべきじゃなかった


僕はこう云うべきだった



チャンミンにパーティーに来て欲しい


僕にとって大切な人だからパーティーに来て欲しいんだって………


セレブリティ5(ホミン小説)

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村




夢と分かっていながら見る夢


意識が2つあるような不思議な感覚の中で浮かぶのはまたもやチャンミンの顔


緊張して少しこわばった表情…何かを告げようとしている


駄目だ…!と強く頭に響く声


僕はこの瞬間を知っている


何度も繰り返す悪夢のような瞬間


ここしばらく何だか様子のおかしかったチャンミンから話がある、と告げられて


改まった口調に嫌な予感



心が波打つのを悟られませんように…



祈りも虚しくチャンミンの言葉が僕の胸に突き刺さる



〈離れて暮らしてみたい…〉



一瞬時が止まった気がした


それは晴天の霹靂ではなかった


いつかそんな時が来るかもしれない…そんな思いがよぎる度に頭を振って否定してきた


まるで慣れ親しんだ悪夢のようだった



夢の中で繰り返される場面


僕を見つめるチャンミンの視線を痛いほど感じながら何気ないふうを装った僕自身の姿



〈今が嫌とかそういうことじゃなくて…〉


慎重に言葉を選んでゆっくりと静かなチャンミンの独白



〈ただ一人で暮らしてみたいんです…もうそろそろそういう時期だと思って…〉



…聞いていられなかった


目を伏せて背けた背中


平静を保つのに恐ろしいほどの努力がいった



〈ああ…〉


低く答えると釈然としない顔



〈ああって…それだけですか?〉


震えたような声に混じる苦さ


〈ああ…わかった〉


不満と失望の漂う濃厚な空気になじるようなチャンミンの声



〈わかったって…ヒョン〉



素っ気ない単調な返事がチャンミンを傷つけるのはわかっていた


目を伏せて背けようとする視界にうつる唇を噛み締めて悲しそうな顔…からかすかに憤った怒りの表情に


それに僕は安堵した


怒りを燃やしてくれた方が悲しませるよりいくらかはマシに思えたので…





出来るだけ早く引っ越しますから、なんて言い捨ててチャンミンが部屋に籠もってしまったあと


一人残されて全く見ることも聞くことも出来ないテレビをただぼんやりと眺めていた



どれくらい経ってからか自室に向かう途中チャンミンの部屋の前でしばしの躊躇


今ここでこのドアをあけて


行くな、と


好きだから…側にいてほしいから行かないでくれとすがりつけばきっと


チャンミンは出て行かないだろう…


僕が本気で頼めば



困惑して…落胆しながらも僕のそばにいてくれるに違いない


そうしていつか真綿のような僕の感情がチャンミンを窒息させてしまう


今ここで手放せないなら…




……駄目だ




頭の中で響く声と共に夢から目覚めた









まだ誰も起き出していないみたいな時間に起き出して


朦朧としながらも手早く身支度


ただ移動するだけでも気の抜けない現実


最近では空港に行く時にさえスタイリストさんにコーディネートしてもらうなんて事もあるらしい


ファンからのプレゼントを着てみたり細かい部分にも注意して…


一歩外に出ればそこはもうステージと同じ


沢山の目…暴虐武人な冷たいカメラの目


小鳥のさえずりのような囁きは常につきまとって絶えることはない


それらに痛痒を感じる事はない…


少なくとも人前では


僕が自分で選んだ道…選んだ生き方だから






まだ暗い明け方の冷たい空気に身を縮める


不快さを感じるまでもない車に乗り込むまでのほんの一瞬


寝不足で熟れたような熱をもった頭にいっそ心地いいくらいの肌寒さ


車中から眺める景色でさえすっかり秋めいて風に遊ぶ枯れ葉の円舞曲に郷愁をそそられてしまう


故郷の光州では山々がすっかり色づいて


そういえば栗を売るバイトなんかもしたな…


とりとめのない思い出を反芻しながら仕事場に到着した



少し早めに着いて雑談していると常になく賑やかにチャンミンがやってきた


重そうなカメラを大事そうに抱えている


誰かに聞かれるまま撮影してきたんで…なんて答えているのに何故だか微かな苛立ち


僕がパーティーを開く同じ雑誌の企画でチャンミンはカメラマンになりたいと志望していた


有名なフォトグラファーであるキム・ヨンジュン氏に師事して本格的に


前の日本でのツアーの合間にもスタッフを撮ったり舞台裏を撮ったり…楽しそうな様子を喜んであげなきゃいけないのに


ツアーや移動の最中…チャンミンのカメラが僕に向けられるのは稀だった


スタッフやダンサーさんを撮っていても何だか僕がうっかり写り込んだり目が会うとそっとカメラを下ろしてしまう


ファインダーを覗き込む姿…そのたび僕は馬鹿げた嫉妬をレンズの向こうの誰かに抱いたりして


誰を撮るのかなんて話が出た時もそうだ


まさか僕のはず無いなんて解っていても以前からファンだという野球の選手をモデルに選んだと聞いて何だか面白くないなんて思ったり


我ながら…と卑下しそうになった瞬間まるで光明の様にひらめいた思い付きに飛び上がりそうになる




「…そうだ!」



思わずたてた声に振り返る怪訝な顔



僕は思わずほくそ笑んだ……

セレブリティ4(ホミン小説)

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村





誰もいない家に帰るのがそろそろ寂しく感じられる季節


答えがなくてもただいまと云って靴を脱げばくつろげるはずの時間が何故か味気ない



リビングに入ると雑多な部屋の様子


積まれた資料を見てため息をついた




雑誌の企画で何をやりたい?と聞かれてまず思いついたのは親しい友人達と過ごす事…


忙しくてなかなか会えない現実を払拭するようなパーティーだった


何か月も前からの準備は楽しくて


クリスマスを待ちわびる子供みたいに心を踊らせながらの下準備


昔からの仲間の店で…料理はこんな感じで、とか楽しみながらの打ち合わせ


音楽も欠かせない、ゲームもしたいし


なにか特別な記念品なんかも作りたい…


なんて話を進める度に浮かんでくるアイデアについ笑みが浮かぶ



そして招待客リスト…


普段親しくしている仲間でもメンバーが一堂に会するのはもう四年以上前



リビングのソファーに座り眺めるだけのテレビをつけるのはもう習慣だ


そのまま寝てしまうこともある…


知らない間にかけられているブランケットやささやく声は無くなって久しい




〈そんなところで寝ちゃうと風邪ひいちゃいますよヒョン〉


幸せな記憶の欠片


〈ヒョンってば〉


肩にかけられる手の感触


〈あ~わかった…〉


曖昧な返事を呟き寝返りを打つとため息混じりに


〈また何度も同じこと言わせないで下さい…さっさと起きて寝室行って〉


〈もう…わかったわかった〉


ノロノロと起き出してふと交錯する視線


〈…なんですか〉


別に、と言うと少し剣呑な顔をするのに内心笑ってしまう…


〈そんなに心配なんだ…僕のこと〉


告げると真っ赤になって…盛大に否定する


〈違いますよ!〉


へえ、と我ながら意地の悪い…


〈全然違いますから…ヒョンが風邪ひいたら僕が一番困るじゃないですか!だからですから〉


〈そういう事にしとくよ〉


なんて返すと思い切り嫌な顔


〈しとくって何ですかしとくって〉


〈だって…〉


思わず飲み込む言葉


心配なんだろ?僕のことが気になって仕方ないって素直に言えばいいのに…なんて


嬉しかったり照れているとき下を向いて隠してしまう悪い…可愛い癖


時々まるっきり反対の事を言う憎らしい唇


もうわかっているのに…


何だかちょっと含み笑いの僕に冷たく響く言葉


〈人がせっかく親切で…もういいですヒョンなんか勝手にソファーでも床ででも寝てて下さい〉


血統書付きでプライドの高い猫みたいにツンとして向ける背中は僕よりも幾分線が細い


長い首筋…髪を短くしてなおさら強調された綺麗なうなじに腕を回すと邪険に振り払われた


〈なんだよ…そんな怒るなって〉


無言で歩き出す固い姿をゆっくりと追いかけまた肩に回した腕を今度は受け入れてくれる


〈…知りませんもう〉


〈心配してくれたのが嬉しかったんだって〉

ね?というと何やら呟きながら下を向いた…





まるでつい昨日のような幸せな記憶



バックから折れ曲がって角の取れた招待状を取り出してテーブルに投げ出した



チャンミンには一番に渡して…そして見事に断られてしまった


驚いて憮然とする僕に慌てて付け加える



〈だってヒョンの仲間のパーティーですよ?普段も行かないのに…〉


〈チャンミン〉


〈ヒョンだって…例えば僕がキュヒョン達とするパーティーだったら来ますか?〉


一瞬の躊躇


ずいぶん昔に一度だけチャンミン達が飲んでいる席に行ったことがある


まだ会の名前すら無かった頃


皆ちょっと驚いたみたいだけど歓迎してくれて…でも気付いてしまった


僕といるとつい僕を気遣ってしまうチャンミン


いつもの冗談や仲間内のジョークがわからない気まずさ



大体僕のいる席でどうやって僕の愚痴を言うっていうんだ?


いつも一緒にいて…お互いにどんなに想っていたってたまには喧嘩だってする


僕の事を愚痴ったり全く忘れてしまいたい時だってあるだろう


当たり前の話…何よりチャンミンが楽しく遊んだり皆に愛されているのを実感して


…席には一時間いたかどうか


まだ盛り上がる気配の席を嘘の用事で抜け出して



〈もう帰るんですかヒョン〉


複雑なチャンミンの顔



〈うん…ごめん〉



邪魔をしてごめん、とは言えなかった


でももう安心して…ここはチャンミンの場所


僕が一緒にいるべき場所じゃなかった







チャンミンがキュヒョン達とするパーティーだったら…?


慌ただしい気配の廊下と反対に痛いほど静まり返った部屋に静かなチャンミンの声



〈気持ちは嬉しいです本当に。でもこのパーティーに僕が行くのは…〉


〈わかった〉


短く単調な僕の声


〈ヒョン…〉


〈もうわかったから〉


…大人気ない僕の態度


悲しそうなチャンミンの様子に罪悪感と収まりきれない腹立ちのまま背中を向けると諦めたように背後で呟かれた



〈ごめんなさい…〉



その時の記憶が突然鮮明に蘇って思わず飛び上がりそうになる


自分でもういいなんて言っておきながらもうずっとバックに忍ばせている招待状


謝ってもう一度渡したかった


ちゃんと説明したかった


僕の大切な人達のパーティーだからこそチャンミンに来て欲しい


何の会だとか…そんなこと全く関係無い


ただチャンミンに来て欲しいんだって



でも時々舌打ちしたくなるほど思慮深くて遠慮がちなチャンミンがそう易々と承諾してくれるとは思えない



テーブルに投げ出された招待状


開きっぱなしのパソコンにはパーティーの概要が鎮座している


招待客のリストを眺めながらふと思い出す記憶



こんなふうにアドレスを開いて考えていた事があった


あまり思い出したくない記憶



あれは一連の騒動が終わってしばらく


今まで永遠に続くと思っていた夢から顔に冷水をかけたみたいに乱暴に起こされて

だんだんと自分の足元にすら忍び寄る黒い影と共にもろくも崩れ去った砂の城のような世界


何もかも失われた…


虚無の中で取り憑かれたように片っ端から電話をかけた



何百人もの長いリスト


友達だと思っていた…信じていた人達


今まで忙しさにかまけて果たされなかった約束


飲みに行こう、食事しよう、どこか行こう…


片っ端から電話をかけて


出てくれたのは一握り


今すぐ会ってもいいと言ってくれたのはほんの数人だった…





結局誰にも会うことはなかった

 
会ってくれると言ってくれた人には尚更会えない…今の自分を見せたくなかった


何を言ってしまうかわからない


貴重な関係だからこそ大事にしたかった…







ふと感じる寒さに破られるまどろみ


いつの間にか眠っていたみたいだ


なんだかだるいような身体をベッドへ引きずって横たわる


目を閉じて現実から逃げ出した