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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

セレブリティ3(ホミン小説)

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後にチャンミンが普通の学生生活がしてみたい、歌手じゃない生活をしてみたいという度に僕は


後悔してるんじゃないか…?


今が楽しく無いんじゃないか…?


…このまま辞めてしまうんじゃないか?


そう思って心配になった


親しいという学校の仲間も余り聞かない


毎日地元の友達に電話していた僕にある日ポツリと呟いた



〈また電話ですか〉


〈ごめん…うるさかったかな〉


それはいいんです、と手を振る


〈いいですね…毎晩電話する相手がいて〉


え?と思うともう肩まで布団を被って反対を向いていて


言葉をかける時を逸してしまった




そんなチャンミンにキュヒョンという親友が出来て僕は喜んだ


2人はとても気が合うようだった



共通点も多い…同じ年でグループのマンネ(末っ子)でどちらもブラックマンネなんて言われるほど毒舌家…に見せていて



お酒が好きでインドア派


グループを作ってよく遊んでいる


楽しそうな姿…


一人で暮らしてみたいと云われ引っ越し先がキュヒョンの家の近くと聞いて僕は安堵した

安堵して…喜んであげるべきなのに



今回チャンミンが単独のバラエティーで楽しく活躍している姿


視聴率も良く…沢山の人に愛されて特に共演者からは番組のマスコットなんて言われるほど可愛がられて


僕は喜んだ…確かに喜んでいる筈なのに


その実足元から這い上がり全身にまとわりつくような暗い感情



……紛れもない嫉妬だった











シウォンに小突かれて我にかえる


いつの間にかスジュのメンバーが集まっていて兵役解除間もないヒチョルの姿を見つけて挨拶を交わした



「お帰り…」


兵役を終えてもう何度か会っているけど一緒の舞台に立つのは久々だった



「何だ…変わんねーじゃん」


そうかな、と言おうとすると手を振って


「なんかチャンミンがユノヒョン痩せたと思いませんかなんて凄い心配してたからさ」


「え…」


思わず言葉に詰まるとシウォンからも賛同の声が上がる


「ちょっと前の話だろ?俺も聞かれた」


な、と言って傍らにいたキュヒョンの方を向くと言いにくそうに



「一人暮らししてから痩せたみたいだって…ちゃんと食べてるのかって」


少し前…忙しいのを差し引いてもかなり急激に体重が落ちていて



ペースを落とした方がいい、と何人かに言われるほど



〈今までがちょっと油断しちやってて…これが普通なんです〉


そう返していたけど実際は違う


確かにちょっと気をつけようと思っていたけどそれ以上に食欲がわかなかった


一人での食事


…チャンミンのいない生活






ツアーの前の話だからもうずいぶん前の事なんだけど確かに思いあたるふしがあった


その日番組の収録で色々なゲームをしたりする中なんだか調子が悪くて


体力の落ちているのを実感した…ちょうど離れて暮らしはじめて少し経っていて


収録の合間ゲームが終わっても動けない僕の側でチャンミンが青ざめた困り顔


結局チャンミンの活躍と最後の最後でなんとかゲームに勝って事なきを得たけれど僕はその日全くの期待外れだったと思う


収録の後なんだか疲れ果てて口をきくのもおっくうな僕になにか言いたげな顔



「ヒョン…」


けだるく目を向けると



「大丈夫ですか…?」


「ああ…もちろん」


と返す声は我ながら力が無い


そうですか…と鈍る語尾



「ちょっと痩せました?」



そうかな、と苦笑い



「そうでもないよ…今までちょっと油断してたし」


そう言うと不意に顔を背けて



「…あんまり無理しないで下さいね」



僕はただ頷いた



恥ずかしかった…いいところも見せられなかったし逆に足を引っ張って心配までさせて


そしてそれ以上に口に出してはいけない言葉



〈そんなに心配ならなんで僕の元を離れてしまったんだ?〉と…




物思いは点呼の音で破られた


周りの喧騒を差し置いて僕はいつになく心もとない感情を持て余して立ちすくんでいた







帰路につけるのは大抵夜半過ぎ


車から眺める街はもう秋深く冬の気配を纏っている


身を切るような寒さも感じる事は少ない


スタジオからスタジオ…ライブ会場に収録へと飛び回って


いまどこにいるのか朝なのか夜なのかさえわからなくなるような毎日だからこそ変わりゆく季節の小さな変化に驚かされてしまう


まるで僕だけが季節に取り残されて…



柄にも無くメランコリックな原因


バックから取り出して眺めるぐちゃぐちゃの白い封筒


作りたての時は本当に素敵に仕上がって喜んでいたのに…




〈今日も渡せなかった〉



パーティーまであともう少し



ため息混じりにシートにもたれ目を閉じた


セレブリティ2(ホミン小説)

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日常のほとんどが分刻みみたいなスケジュールの中ではゆっくりと考えることすら難しい


常にやらなきゃいけないことのリストがあるような生活だけどそれを楽しんで…というのはあくまで理想だけど




つかの間の休息にチャンミンの姿はない


相変わらず忙しそうに別の仕事に出かける後ろ姿を見送ると入れ違いに歩いてきたスジュのシウォンに肩を叩かれた



「何だよ暗い顔して」


「久々の挨拶がそれかよ…」


重いよ、と言って肩に回された手をどけようとすると含み笑い


シウォンとはドラマで共演したりプライベートでも仲がいい…大体スジュのメンバーは皆練習生の頃から一緒に寮生活してきたような仲間ばかりでお互い気安い仲だった




「チャンミンはまたマンネ同士でつるんでるのか?」



「…仕事だよ」



と言って首を巡らす先ではスジュのキュヒョンが立ち話している


事務所のイベントの集まりなので実際には普段あまり会うことも少ない別のグループのメンバーがごった返していて


今更ながらに驚いてしまう…大所帯になったもんだし何よりほとんどが自分より後輩になってしまった


息を吐いて座り直し辺りを見回した


顔ぶれは皆とても若い…スジュくらいがかろうじて同年代で後はほとんど20歳そこそこだったり


自分の同じ頃と比べるととても完成されているように見える


なのにその反対に屈託無い笑顔やたわいもないやりとりを聞いて酷く幼いような


…要するに僕が歳を取ったということだ


昔は他人の年齢なんて気にならなかったし第一いつも一番年下なのが当たり前だったのに


今ではヒョン(敬称・兄さん)を付けずに呼ぶ人は数えるほど…




僕の沈黙を勘違いしたのかシウォンがまあ寂しがるなって、なんて言ってくるのを苦笑で迎えた



「チャンミンには良いことだよ…僕にもね」


「無理すんなって」



「本当だって。お前だって覚えてるだろう?チャンミンの最初の頃」


というと合点がいった様子


「ああ…」




僕達も若返ったけどチャンミンは本当にまだ幼くて


それがデビューと共に何もかも一変してまるで嵐に巻き込まれたみたいに


まともに学校にも行けない…行ったとしても騒ぎになるからと隔離されて


僕はまた良かった…まだ周りも少し大人だったし田舎の学校ということもあって週末仕事をして月曜日に帰ってそのまま登校という生活でも大変なのは体力的な事だけだったけど


チャンミンは違っていたろう


生まれながらのソウルっ子だし一番遊んだり友達を作ったりしなければならない時期にそんな風に隔離されたり色眼鏡で見られたり


…大変だったんしゃないかと今にしてみれば思いやれることも当時は余り気にしてあげられなかった


何より僕自身がいっぱいいっぱいで



今でも心に残るエピソード


ある日半年ぶりくらいにとれた休日



皆朝早くから出払っていて後には僕と…具合が悪くてせっかくの休日だというのに寝ているチャンミン



かなり気が引けたけど構わないから出掛けて下さい、の言葉にあっさりと乗ってしまい


出掛けてそのまま夜半過ぎ


普段他のメンバーに比べて全くメールをよこさないチャンミンからのメール




〈今どこにいます?〉


〈早く帰ってきて?〉



皆と一緒にいても本の虫…真面目で努力家だけどいつも一歩引いたような態度


でもそうさせたのは僕達だった


年も近くて気の合うメンバー同士話しているとどうしたってマンネ扱いしてしまって


寂しい思いをさせたし何よりも普段自分の思いを言わない我慢強いチャンミンにこんなメールをさせるほど…



……僕は後悔した


二度とこんな思いをさせちゃいけない



次の機会には…と思う機会はなかなか訪れなかった



先日のツアーの最初具合の悪いチャンミンをみて


張り切って慣れない看病



気付かれないようにしたつもりがあろうことに自分が風邪を引いてしまったりして




舌打ちしたくなるエピソードの数々


初めて会った時にも僕は冷たかった



〈初めまして…シム・チャンミンと言いますよろしくお願いしますヒョン…〉



僕は目の前の気弱げな儚い感じの少年を眺めた


歌も踊りも初心者だけどスカウトされてカメラテストで一発合格した子がいる



やっかみやおもしろ半分の噂


僕はその日一年かけてデビューに漕ぎ着ける寸前まで来ていた練習生のグループが瓦解してしまって


やり場のない怒りを感じていた



オーディションのテープを盗られたりしても何とか勝ちとった練習生の生活もとうに四年を過ぎ


僕のデビューを心待ちにしていた祖父もデビューを待たずに亡くなってしまって


言い訳にならないけどそんな中現れたいかにも苦労知らずのお坊ちゃんぽい外見を見て



〈本気でやらないで遊びのつもりなら帰ったほうがいい…〉


瞬間こわばって固まったチャンミンの顔


しまった、と思った



何がどうあったってそれはこの子のせいじゃない


目の前のこの子のせいじゃないのに…


謝ろうとした瞬間不意にうつむかれて



お辞儀をして去っていく背中を見守った…


セレブリティ1(ホミン小説)

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メイクが終わって鏡を覗きこむと未だに僕は不思議な感覚に襲われる…ほんの時々だけど


そこに映っているのは僕であって僕じゃない

少なくともほんの何時間か前に寝ぼけまなこで自室の鏡に映っていたチョン.ユンホとは違う…もう一人の自分


幼い頃の傷跡さえ綺麗に隠された象牙色の肌

真っ白な歯が覗く唇は到底30近い男のものとは思えない



鏡に向かって今では自動的に浮かぶ笑み




「…何か気になるとこでもありましたか?」



アイラインで強調された瞳を伏せると怪訝な顔のメイクさんに尋ねられて慌てて首を振った



「何でもないよ…ありがとう」



立ち上がる足取りは確信に満ちている



周りにいるたくさんの人達に挨拶したり立ち止まって談笑しながら神経を集中させていく


衣装をつければ9割は出来上がり


なんて意識すらもうしない筈なのに、と奇妙な違和感がある



…今日は少しナーバスになっているみたいだ




理由はもうはっきり分かってるんだけど今はそれどころではない…出番まであと少し




それがステージでもスタジオでも一歩前の暗がりで手早く十字を切って祈る



ゆっくりと歩き出すと眩い光とともに耳をつんざく悲鳴のような歓声



白いライトに浮かび上がるたくさんの顔



何台ものカメラに見つめられる…まるで獲物を捉えた動物のようだ



笑顔でカメラを見つめるともう微塵の気後れもない


ダイアモンドのように輝くスポットライトよりも眩しい存在にならなくては 


誰よりも愛される偶像〈アイドル〉に



…だけど誤解しないで欲しい


浮かべる微笑みも発言も決して嘘じゃない



今ではもうどちらともつきかねるもう一人の自分





ユノ・ユンホの世界へようこそ、というわけだ








きらびやかなステージを離れても舞台は終わらない


僕の一挙手一投足…どんな小さな呟きにさえ常に注がれる視線や注目


初めは信じられなくてそのうち有頂天になり紆余曲折を経て今ではほとんど何も感じないほど…



僕は特別な人間じゃないのに、とひとりごちる



別に謙虚さや美辞麗句じゃなくステージを降りた僕は本当に普通の人間なのに



その証拠にこの数日間僕はもうずっと悩み続けている


何度も取り出してぐちゃぐちゃに折れ曲がった招待状


言いかけて馬鹿みたいにしりつぼみになる言葉



初めて好きな子に渡すラブレターみたいに…



〈みたいじゃないかな…〉



それは僕のパーティーの招待状


チャンミンへの招待状だった








日本での大規模なツアーが終わってつかの間

僕はしばらく抜け殻のようになってしまった

デビュー当時からの夢…無謀な夢と思っていたはずの夢を叶えて


感動した…



言葉に出来ない程の感慨があった


10年間ものあいだ走り続けて…時には走れずに歩いたり止まってしまったこともある曲がりくねった険しい道なき道を思って



10年前に誰が今の僕達を予想できただろう?


思い描いていた理想とは少し違っていたかもしれないけどそれでも今の自分に満足していないとは言えない


もちろん後悔や悲しみもある…悔やんでも悔やみ切れない現実も


でもそれらすべてを乗り越えて僕は幸せだった


大好きな事を仕事にできて


素晴らしい仲間…家族に囲まれて


明るい未来…周りの皆が最近とみに騒がしく話題にする兵役だって自分を見つめなおせるいい機会になると僕は思っている



後は…と考えてため息


本当は一番先に思いついてしまう顔


幸せを思う度に浮かんでしまう



心から愛しているただ一人の人




一日中ずっと一緒だったツアーが終わってあっさりと一人の生活に戻ってしまうことは難しい…


少し前まで朝一番に見るのも夜目を閉じる前の残像も全てチャンミンの顔だったのに



最近では単独のバラエティー番組が忙しいチャンミンの様子をマネージャーや他の人から聞く始末


とても楽しんでやっていると聞いて嬉しいばかりの筈なのに何だか寂しくなったり…なんて口が裂けても言える筈がない



…日本でも恋人としての逢瀬はほんの数回に留まった



連日のツアーで疲労困憊していたから部屋が一緒でもすぐに寝てしまったり


ワインを呑んで熟睡しているチャンミンをただ眺めていたこともある


それはそれで幸せな時間だった


だから勘違いしてしまったのかも


この幸せな時間が永久に続くって…



ドーム公演を終えて帰る時にも特別な約束はしなかった



またすぐに会えると思って



仕事でも一緒だしまだスタジアムもあるし、なんて甘い考えで



そんなのは本当に甘い考えだった