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東方神起  ホミン小説

現実が軽く妄想を超えるホミンの素晴らしさをお届けします

胸キュンしたい人は是非お試し下さい

TIAMO6(東方神起ホミン小説)

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朝方何故か急な目覚め


時間的にはとても足りないような短い間しか寝ていないのに…とまた眠りにつこうとしても何故か目が冴えて眠れずに


そのまましばらくベッドの中で無理矢理目を閉じて試行錯誤


眠ったふりをしてみたり呼吸をゆっくりにしてみたり心の中で数え歌を歌ってみたり


…しても眠れずにむしろ冴えてくる頭をもてあまして思いきってベッドを出てしまう


寝不足の重い頭…自分が世界から壁1枚隔てたようなところにいるような奇妙な感覚



時計を見るといくら早起きしてタイトなスケジュールにしてもまだ早すぎる時刻



……まだしばらく寝てられるのに



寝不足のままで簡単にいくような撮影じゃ無いんだから少しでも寝ておかないと



そう思うけど一度起きてしまうともうなんだか破れかぶれな気持ち



なるようになるさ、なんてリビングに行くと持ち帰った荷物に目が留まる



持ち上げる重さにちょっと苦笑して…取りだしたのは自分たちの写真集だった



〈ちょっと凄いですよ〉



チャンミンの言葉が甦る



〈あの時の事考えると不思議で……〉



さもあらんチャンミンの言葉



ネットや色々なところで話題になっていたけどなんだか仲の良すぎる楽しそうな羽を伸ばした姿



不思議、とチャンミンが言ったその訳



写真で見る仲睦まじい姿がこの後いとも簡単に崩されてしまうなんて想像も出来ないくらいの特別な時間を過ごして


天国にいるような気持ちに急に降りかかってきた暗雲



幸いな事に撮影は終わっていた…帰国の前に少しだけのオフ



貴重なそのオフの時間…撮影時の楽しい幸せな記憶が無くなってしまうくらいの
冷戦状態に僕達はなっていた



初めてではないけど本当に酷い喧嘩…というよりもう全面的に悪いのは僕なんだけど



膝に置いた写真集の中の1枚



自分で見てもちょっと照れ臭くなるような写真の中の僕達…穏やかなチャンミンの顔



指先を触れて甦る記憶



今でも胸の痛むような……





事の発端は常々僕が語っていたある夢



地元の友達…学生の頃からの悪友達と交わした冗談混じりの約束



(デビューして)10年たったらラスベガスに行こう



去年9年目を迎えて暫く子供の時からの親友と食事をしていて…



今は地元(光州)にいる親友…
久々に会えたけど普段から帰れば必ず連絡するし向こうがソウルに来たり連絡は密にしていて久々の感じはしない



お前も来年デビュー10年か、なんて感慨深く



良くやってるな、なんて普段言わないねぎらいの言葉に杯を重ねた



今は過ぎ去った懐かしくも貴重な思い出話




昔交わした約束の話になりふと名案が浮かんだ



「来年は多分大丈夫…だけど予行練習しないか?」



「予行練習?」



怪訝な顔を箸で指してだからさ、と



「来年のラスベガスに備えて今年は韓国のカジノで盛り上がるってのはどう?」



酔いもあってそうだなそうしよう、なんて話が段々具体的になって


帰る頃には絶対行こうななんて交わされた約束は意外に早く実現してしまった


TIAMO5(東方神起ホミン小説)

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部屋に入るなり荷物を投げ出してソファーに直行


…しようとして思い直し手近な回りをざっと片付け始める


ほんの少しの時間でかなりすっきりした部屋を眺め満足しながら寝室に向かった




ベッドに横たわりちょっと馬鹿みたいと思いながらさっきまでの撮影の合間に撮ってもらった自分の写真をチェックする




〈ヒョンの顔忘れそう〉




また眺めるメッセージに少し頬を弛ませながら選んだ写真を送って




〈忘れるなよ〉




そう添えてサイドテーブルの充電器に差したそばから画面に流れる新しいメッセージ



〈ムソク(ドラマの役名)は格好いいけど僕のヒョンはどこ?あれ?〉


〈ウリヒョンこんなに格好良かったっけ?〉



なんて深夜の即レスだけでも嬉しいし意外なのに、と
1人の気楽さで盛大ににやつきながら返信を考えていると




〈ヒョンの声も忘れそう〉




なんて現れた言葉



時計を見てちょっと悩みながらもアプリを閉じて



電話してしまうとほどなく聞こえてきたささやき



〈ヒョン?〉


〈まだ覚えてる?〉


〈ヒョン?〉


〈僕の声をまだ…?〉



と言うと危うく忘れるとこでした、なんて…



〈良かったよ間に合って〉



〈…撮影は順調ですか?〉



うん、と返事をすると混じる止められない欠伸



〈ムソクは氷美男(クール美男)なんですから欠伸なんてしないんですよ〉



僕が出るドラマの設定に詳しい事に嬉しさを堪えきれない



〈ムソクはそうでもチョン・ユンホはするの…声聞いて安心したんだよ〉



そう言うと微かな間



〈安心しました?〉


〈大いにしたね〉



言うと急な咳払いでごまかそうとする嬉しさ混じりの笑い声




〈…子守唄でも歌ってあげましょうか?〉



からかいながらもまんざら冗談でも無いような口調



〈ちょっと…勘弁してくれ〉



本当はちょっと…大分…嬉しかったけどなんだかいつもより甘い恋人モードなチャンミンにどぎまぎして恥ずかしいことこの上ない



お互いの近況や身近な人の話題…少し話しているとまたもや空気の読めない生欠伸



ごめん、と謝るとおかしそうな口調に見え隠れする優しい響き




〈…少なくとも撮影で緊張して眠れないって事は無さそうですねヒョンの場合〉



〈…誉め言葉と思って有り難く聞いておくよ〉



少し笑いあってから静かに



〈ヒョン…明日も早いんでしょう?〉



まあ…と言葉を濁すと電話ありがとうございましたなんて締めに入るのを


まだいいよ、なんて言ったそばからまた湧いてきた欠伸を噛み殺すと優しい声



〈もう寝た方がいいですよ…ちゃんとベッドにいるんでしょうね?〉



〈なんだよちゃんと……今日なんてリビングも掃除したんだから〉


自慢気な物言いに呆れたように作る声色



〈そんなの自慢になりません…大体片付けなんて毎日するもんですよ〉



〈そんなに汚れるほど家にいないよ…寝室だって…ほら誰も来ないし〉



ちょっと意味ありげに強調する言葉



〈たまにはベッドメイキングが必要になるような事をしたいね…誰かさんと一緒に〉



大胆な言葉に落ちる沈黙が逆に雄弁に語りかけてくる


ややあって



〈…ヒョンの寝相なら1人でもベッドメイキングが必要なんじゃないんですか?〉



定番の会話に笑いあった…


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目の前でやっと開いたエレベーターに乗りこもうとして降りてきた相手とぶつかりそうになってしまう


慌てて横によけながら一歩下がると素っ頓狂な声


「あれ?ユンホさんよろしくお願いします」


顔をあげると旧知のプロデューサー…打ち合わせの相手だ…が顔見知りじゃない二人を連れている


慌ててエレベーター前で始まる挨拶……テミンが押さえてくれたドアを離れてSHINeeのメンバーが乗り込むのを横目で見守る


挨拶のあと始まった雑談から逃れる術はなく


先に行けよ、と目配せすると狭い箱の中で並んで軽く会釈をされながらゆっくりと扉がしまるのを見送った





結局そのまま会議室に戻ると少しおや、という顔をしたマネージャーを交えて無難に打ち合わせを終えた






帰りの道中やっとリュックから取り出した電話に着信履歴


車内が急に狭く感じられてちょっと疑心暗鬼になり


聞こえないように耳に強く当てて聞くメッセージ


ヒョン…と懐かしい呼びかけのあといつもより若干早口で


〈会えなくて残念…元気にしてる?撮影は順調ですよね…?〉


ややあって


〈とにかく身体に気をつけて撮影頑張って…暑いから水分補給忘れないで下さいね…それから〉


〈写真集見ました?〉


微かに笑い声


〈ちょっと凄いですよ…あの時のこと考えると…なんだか不思議で〉


〈撮影で忙しいだろうから電話なんてと思ったんだけど…でも今日会えなかったから〉



しばしの沈黙 



〈まあとにかく今日は残念だったけどまた電話します〉


じゃあ……といってあっさりと通話は切れた



入れ違いちょっと後くらいの時間を見て漏らす呟き



〈ぐずぐずしてないで階段でダッシュしてれば〉


なんて今更ながらの後悔をしてみてももう…後の祭り



心踊る相手からの待望の連絡なのに心穏やかじゃない


でもまあ…久々に聞く声だ


ちょっと物足りないけどでもまあ…普段から電話でもメールでもそんなに愛機のある方でもないし


最も最近はちょっと変わってきたみたいで面と向かってはわざと可愛いい甘えた口調で話しかけてきたり


(以前から酔うとそうだったけど)



アイドルみたいな(だけど)誇張された可愛いい仕草をしてみせたりし始めた時にはちょっと内心どうしたのかな、と思ったけど


まあそれで上手くいってることも確かだ


実際なんだかんだ言っても可愛いいと思っちゃうし…なんて僕は重症だな、と呆れてしまうけど


10年を軽く越えるほど長く一緒にいてなお溢れ出る気持ちが一体どこから来るんだろう…そう思って不思議な気持ちになる


と、途端にまた声が聞きたいなんて……




馬鹿みたいにもう一度聞こうとして別のメッセージにも目がいった


アプリを開くと簡単な一行しかない短いメッセージ



〈ヒョンの顔忘れそう〉



忘れそう、のあとに付けられた泣き顔のマーク


ことさらに真面目な顔を作ろうとしてもちろん失敗する


さぞかしにやついた表情をしているんだろうな、と思ってそのことがまたおかしくなる



狭いシートで飛び上がりたくなるのを抑えて思いきり前の座席を蹴ってしまい


ちら、と様子を伺うマネージャーに笑いながら何でもないと小さく告げた





マンションの入り口近くで微かにマネージャーから漏れた舌打ち



「なに…またいる?」


そう聞くと全く…、と鼻をならして


「大して多く無い…7、8人ですかね…」


憤懣やる方ない様子で告げられた


窓から少し伺うと住人以外が入れるギリギリのところで固まっている人影



「せいぜい静かにしてくれてた事を祈りますよ」


僕は曖昧に頷いた


サセンペン(私生活ファン)と言われる過度な追っかけの存在はもう大分前から大きな問題になっている


ストーカーじみた待ち伏せやパパラッチ顔負けの追跡
で事故や事件に発展する事も少なくない


そっとため息をついた


彼女達は知っているのかな?


僕達は頻繁に電話を変える


昔あるアイドルが落としてしまって大騒ぎ


そのアイドルの電話張に入っていた芸能人のアドレスが瞬く間にネットで流れて


際どいメールや画像も…さながら公開処刑だ


そんなことが何も無くてもいつの間にか知らない他人からメールをもらったり


勝手に部屋に入られて写真を撮られてその写真を送られたこともある


移動の車もしょっちゅう変えたりわざとダミーの車を紹介したり


はたまた何台かで並走して途中で違う車に乗り込んだり…まるで出来のわるいスパイ映画みたいに



最初は面白がったりちょっと自慢気に話すネタの様に思っていたって


毎日毎日……それがどんなに僕達の生活を難しくしているか彼女達は知っているんだろうか?


芸能人じゃない1人の人間としての生活を…


はなからそんなものは無いと批判されることも多い


芸能人なんだから騒がれて当たり前、それが嫌ならやめてしまえなんて極論


確かに恩恵もたくさん…有り余って困るくらい


感謝していない訳じゃない


でも一日…一日でいいから誰にも気付かれずに自由に街をぶらついてショッピングしたり映画を見たり


大騒ぎにならずに食事したり遊園地に行ったりしてみたいなんて


そんな些細な事を願ってしまうのがそんなに悪い事なんだろうか?






窓の外にざわつく人影


ほとんど毎日繰り返される攻防を余り無下には出来ない


何といってもファンなんだし…プレゼントやなんやかや…僕だって憧れのスターに少しでも近づきたい気持ちは解る


憧れのスターが住んでいる場所がわかってもし行けるなら学生の頃とかなら勢いに任せて押し掛けてしまっていたかも知れない


僕だって……


思わず漏れるため息


今の部屋ももう更新はしてもらえない


はっきり他の住人から苦情が出ているし迷惑だ、と言われたことも


実際撮影が落ちついたら引っ越す算段がついていた



そうやって段々狭くなる世界


芸能人村と呼ばれるセキュリティの厳しいマンションに籠城して外の世界を忘れてしまう


一分の過激なファンの行為が僕達を少しずつ普通のファンからも遠ざけていると何故気がつかないのか?




車を降りると静寂に響く饗声



唇に指を当てておどけて見せた…